ロドリゲス監督とポヤトス監督の微妙な違い

しかし、2度目のJ1を舞台にした2021年はその最大の功労者であるロドリゲス監督自身が浦和へ引き抜かれてしまった。しかも、現指揮官のダニエル・ポヤトスを迎えたものの、新型コロナウイルス感染症対策の影響で来日が遅れたことも痛かった。

そして、今年は徳島の生き字引存在であった主将MF岩尾憲まで浦和へ新天地を求め、シーズン途中には10番を背負うチームナンバーワンのテクニシャンであるMF渡井理己が海外移籍(ボアヴィスタ)したのだから、順調にはいかないはずだ。

それでも徳島のゲームモデルに変化はなかった。上記に2012年以降の徳島の成績とボール保持率などをまとめたが、ロドリゲス監督が退任し、尚且つJ1だった昨季にもその数値に変化はない。その他、ペナルティエリアへの侵入回数、ドリブルでの仕掛けなども全く変化がなかった。

つまり、徳島に根付いたゲームモデルは「ロドリゲス監督のモノ」ではなく、「クラブ所有」だと証明された。

とはいえ、ロドリゲス前監督とポヤトス現監督、2代続いているスペイン人指揮官にも違いはある。

ロドリゲス監督は個より組織を重視する原理主義者の傾向が強い。相手の陣形を崩してスペースを見出すために、まず自分たちが積極的に動いて陣形を崩す。1つの局面に多くの人数を割くような、リスクをかけた戦い方が信条だ。

対して、ポヤトス監督は1つの局面に極端な密集を作るようなことはしない。個の能力で解決できる局面はシンプルにプレーさせるのが信条で、バランス感覚は現指揮官に分がある。年々加入する選手の質が上がっているため、クラブ事情から考えてもポヤトス監督の招聘・続投は正解だろう。

ただし、個のパズルを組み合わせるのには時間がかかる。ましてや徳島は毎年のように戦力が大幅に変わる特殊事情がある。昨季も終盤になってチームが固まったものの、今年も中盤戦までは勝ち切れなかったのは、現指揮官のこうしたチーム作り上の特徴にある。

逆に言うと最終盤になってカチッとハマった現在は全く隙がなく、J2で最も強いチームに仕上がっている。今後プレーオフで対戦することになるJ2上位やJ1下位のチームは、徳島を最大の脅威に感じているはずだ。