宇佐美貴史は「本当にすごかった」
――ベン・カリファ選手といえば2009年のU-17W杯です。4ゴールを決め、スイス代表は優勝を果たしました。
すごくいい経験でした。日本代表と対戦して4-3で勝ったというのも、今となってはいい思い出です。
スイスで育ち、スイスで学んだ自分が、会場となったナイジェリアで全く違う国、全く違う環境を経験しました。
全く違う天候や会場、違う街、違う人々の中でとても厳しいものでしたが、我々はいいチーム、いいグループを持っていました。
スイスという国にとってもあのような国際大会で優勝できたのは初めてのことだったので、すごく大きなものでした。
そのようなことも含めて、本当にいい思い出として残っています。
――大会中は宇佐美貴史選手のことがチーム内で話題になっていたとか?
本当にすごい選手でしたよ。とても若い時でしたが、本当にすごかった。
ただ、僕が日本に来てからは彼が怪我をしている状況なので、早くそれを治して戻ってきてほしいです。ピッチの上で戦ってみたいですね。
日本人選手についても本当に皆が頑張ることができて、すごいチームでした。U-17W杯のときには勝てましたが、正直に言えばスイスが負けていてもおかしくない内容でした。
――U-17W杯のチームメイトには、グラニト・ジャカ(現アーセナル)やリカルド・ロドリゲス(現トリノ)、ハリス・セフェロヴィッチ(現ガラタサライ)など世界的なスター選手がいましたね。
もちろん御存知の通り素晴らしい選手たちです。見ていて楽しい存在ですし、それは今も同じです。リカルド・ロドリゲス選手は当時から全くプレースタイルが変わりませんね。
逆にグラニト・ジャカ選手は左ウィングでした。今は中盤の守備的な位置をやっていますね。彼は本当に素晴らしい左足を持っています。それぞれ違っていて面白いですね。
この二人に共通して言えることは、本当に賢い選手だということです。若い頃はフィジカルやスピードで活躍できる部分がありますが、彼らはボールを持つと賢くて、とてもいいゲームコントロールをします。
本当に賢い選手なんですよね。それを高いレベルでできているのは本当にすごいことです。
――その頃スイス代表は急速に強くなりましたね。
我々はビッグネームの選手が出て強くなったわけではなくて、チームの安定性の高まりがあったんです。常にW杯やEUROの本大会に参加できるようになりました。
スイスというチームの強さは、常にいいチームスピリットを持っていることです。個人の特別な才能に頼るのではなく、チームが団結し、全体で守備をして、全体で攻撃をする。いい守備をして、賢くボールを持つ。そのような安定性や強さがあります。
その前もいいチームでしたが、2006年W杯あたりからスイスはいい道を歩んで、常にW杯やEUROでプレーできるようになったのです。