アレシャンドレ・パト

「期待はものすごく大きかった。僕はスーパータレントだったし、確実視されていたからね。

メディアやファンは話題にするし、他の選手たちでさえ持ち上げる。

『パトは世界一になる』、『パトはバロンドールを勝ちとる』。

注目されるのは好きだったし、話題にされたかった。でも、どうなったか。

僕はあまりに夢を見過ぎてしまった。

まだ一生懸命取り組んでいたのに、想像では色んなところに行ってしまう。

頭のなかではすでにバロンドールを受賞してたよ。どうしようもない。影響されないなんてムリさ。

それまでは地獄のような苦しみを味わってきたこともあったしね。なぜ楽しんじゃダメなのかって。

2009年にはゴールデンボーイを受賞した。バロンドールは考えずにただ楽しんでいた。

いまを生きている時の僕はアンストッパブルだった。でも、頭のなかが未来に囚われてしまった。

そして、2010年以降は常に怪我をするようになった。自分の体に自信が持てなくなった。人から言われることが恐くなった。

怪我しちゃダメだと考えながら練習していた。もし怪我をしても、誰にも言わない。

筋肉系の問題が治ったと思ったら、足首を捻る。そして、そのままプレーする。ボールみたいに腫れあがっていたよ。

でも、チームをがっかりさせたくなかった。みんなを喜ばせたかった。それが僕の欠点でもあった」