――とっさにだったんですね。サントス選手にとって川辺選手はどんなチームメイトでした?

技術がしっかりしていて、足もとでのボールコントロールは凄いものを持っています。あとは、前へ出ていく力ですね。3列目からバッと飛び出していき、かつ最後を決めきるシュートの技術やパワーもある。ブラジル代表のパウリーニョ(元広州恒大、バルセロナ)に似ている部分があると感じています。

今までずっとプレーしてきた日本からヨーロッパへ渡り、違う文化やスタイルの中で戸惑うこともあるかもしれません。ただ、彼にとっては素晴らしい経験になると思いますし、また一つステップアップというか選手として大きくなるのではないかと思っています。日本代表にもそれを還元し、重要な選手の一人になってくれるのではないでしょうか。

――サントス選手から川辺選手と言えば、今年5月に行われたJ1第20節のガンバ大阪戦、アウトサイドの凄いパスで川辺選手にアシストしたシーンが印象深いです。あれはイメージ通りのプレーでしたか?

自分は、試合を常に考えながらトレーニングしています。そのトレーニングの中で何人かの指導者の方に「もっと真面目にやれ」と言われたことがあるのですが、自分の中ではアウトサイドキックでパスを出すことが真面目にやっていないわけでは決してありません。試合には様々な状況があり、それに対応できるように日々トレーニングを行っています。

サッカーをする上で、自分の中には「楽しんでプレーしたい」ということと「自分のイマジネーションを自由に使って相手が考えていないことをやる」ということの2つが根底にあります。

自分は昔のサッカー選手たちのプレーからたくさんのインスピレーションを受けてきました。今のサッカーはどちらかというとガチガチですが、昔の一流選手たちは相手の意表を突くプレーが得意でした。そういうことを自分もやりたいですし、トレーニングから常にその意識を持っています。

あの場面は、川辺選手が自分の視界に入ってきた時、ボールが少し自分の右側にありました。左足で蹴ろうとすると時間がかかり、パスを出すのが遅くなってしまう。右足のアウトサイドで出したほうが良いボールが行き、川辺選手にとってもトラップしやすいボールになるだろうと考え、あのプレーを選択しました(動画4分24秒~)。

イメージ通りというか、イメージ以上に良いボールが出せて、川辺選手もトラップをピタリと決めてくれました。本当にパーフェクトなゴールだったと思います。