昨季、悲願のプレミアリーグ初優勝を遂げたリヴァプール。

彼らのスローインはリーグ最低レベルだったが、スローイン専門コーチのトマス・グラネマーク氏によって欧州トップクラスへと改善された。

『ESPN』によれば、グラネマーク氏は「ほとんどのチームはスローインの質が本当に低い。その理由は知識がないからだ」と述べているという。

かつてプレミアリーグにはロングスローの達人だったロリー・デラップという選手がいた。グラネマーク氏はデラップについてこう語っている。

トマス・グラネマーク

「ロリー・デラップはファンタスティックだった。

スローインの質と距離だけでなく、速さとフラットさ(軌道の低さ)。

ロングスローを投げる選手たちのほとんどは高く投げすぎる。それだとクリアするのは楽勝だ」

デラップの獲得を熱望していたというトニー・ピューリス監督が作り上げた当時のストークは相手にとって悪夢的なチームだった。

スカッドには大男たちが揃い、オープンエンドなスタンドによって国内で最も強い風が吹く仕様のブリタニア・スタジアムでデラップのロングスローが猛威を振るったのだ。

当時のストークがやった“悪名高き”試合がある。2008年11月にブリタニア・スタジアムで行われたアーセナル戦だ。

アーセナルが7割以上のボールポゼッションを記録するも、勝ったのはストーク。デラップのロングスロー2発から2点を奪い、2-1で勝ち切ったのだ。

「ちょっと不公平なアドバンテージだ。彼は通常サッカーでは強みにならない強みを使っている」とデラップに恨み節をぶつけたアーセン・ヴェンゲル監督は、スローインに代わってキックインの導入を訴えたほど。

一方のデラップは「我がチームの身長とクオリティから考えれば、僕が完璧なボールを投げたら、守るのは不可能だと思う」と豪語していたが、相手チームも何かと対策を試みていた。