――西部選手は先日、トレーニングマッチで解説をされていましたね。まだコンディションが整っていない中でのゲームだったと思いますが、上から見ていてどんな印象でしたか?

監督から求められていることは結構できています。相手陣にできるだけ入ってポゼッションすることや、後ろからのビルドアップなど。ここまで積み上げてきたことはできているのですが、想像しないことが起きたときに臨機応変に対応できていないのが正直なところです。

これは、今のサッカーを継続していく上でものすごく重要なことです。トレーニングマッチで各自がそこに気づけたと思いますし、逆に状況をイメージしながらプレーできないようであればダメなまま終わってしまいます。これから修正能力を身につけていく必要はあるかなと見ていて感じました。

――そこは実戦でないとなかなか積み重ねていけない部分でもありますものね。

このサッカーはそんなに簡単ではないですし、ポゼッションするチームは最初苦戦することが多いので時間は多少かかると思います。

新たな清水エスパルスとともに

――GKに求められる役割も変わったというか、やるべきことが増えたのではないかと思います。西部選手はどのような形で取り組んでいますか?

僕は川崎フロンターレで似たようなサッカーを経験していました。そのときの風間八宏監督だとGKはそこまで攻撃的な感じではなかったのですが、ポゼッションのやり方などある程度のことは経験できていたので、僕自身はまったく違和感なく取り組めています。

求められていることはやれていますし、そこにプラスして、ハイラインなので裏に出てくるボールを積極的に前へ出て処理することを考えながらプレーしています。

どちらかというと好きなサッカーですし、僕は役割とか「これをやってほしい」とはっきり言われたほうが応えやすいのでそういう意味でもやりやすいです。チームのグループとしても求められていることがはっきりしていますから、皆それに向けて頑張っています。

――GKのポジション争いは熾烈だと思います。西部選手の中でライバルに「ここだけは負けない」という強みはどこでしょう?

そうですね…。経験と言ったらありがちですし、年齢的なものもありますけどやっぱりそこですかね。どんな状況になっても対応できることは強みです。

あとはDFを動かすコーチングですね。身体能力は年齢とともに徐々に落ちてくる部分が当然あるので、その中で身につけてきたコーチングは自分の持ち味かなと思います。

※チーム最年長の西部。今年の清水エスパルスは人員だけでも大幅な入れ替わりがあっただけに、彼のような選手がピッチ内外で果たす役割は大きい。

――西部選手は2004年から2010年まで清水エスパルスに在籍し、一度離れたあと(※湘南ベルマーレで1年、川崎フロンターレで4年プレー)、2016年に復帰しました。清水へ戻ってきた理由は?

理由はすごくたくさんあるのですが、一番は単純に、力になりたかったです。

清水との契約が一度終わって、湘南、そして川崎でいい経験をさせてもらいました。自分のプレーにまた自信を持てるようになってきたんですが、一方で清水はJ2降格が決まるなど苦しんでいた時期でした。

自分の中ではいつかエスパルスに戻りたい気持ちはずっとあり、「今の自分だったら」という思いが強かったので、こちらから声をかけさせてもらいました。