――変わるという意味では、新スタジアムも気になります。

私もスタジアムにいろいろと問題があるとは来る前から聞いていたのですが、実際に行ってちょっと驚きました。

静岡は車社会ですし車でのアクセスはいいのだろうなと行く前は思っていたのですが、駐車場は少なく設備的にも屋根などJリーグの基準を満たしていない点がある。正直「時計が10年から20年ほど止まった古いスタジアム」という印象は拭えませんでした。

ただ一方で、高台にあるスタジアムへたどり着けば目の前に富士山がドーンと見えますし、ピッチまでの距離がものすごく近い。臨場感もあって、「日本一のスタジアム」だとも思います(笑)。

――素晴らしい点もたくさんあるIAIスタジアム日本平ですが、「とはいえ」ということですね。

新しいスタジアムに関しては着任して以降、静岡市長や静岡県知事にお会いして話をしました。遅くとも5年以内には作ることを決定して、できるだけ早く着工に繋げていきたいです。

ソフトとなる優勝を狙える魅力的なチーム作りがもちろん先になるわけですが、ハードであるスタジアムについてもできるだけ同時並行で進めていきます。

――静岡では今年、静岡市にある静岡学園が高校サッカー選手権で優勝したことも大きな話題です。

選手たちには「高校生に負けるな」と発破をかけています(笑)。

――そんな“サッカーの街”における清水エスパルスとはどんな存在ですか?

生活の一部になっているクラブです。静岡と言えばエスパルス、そしてオレンジ色。

例えば広島における広島カープのように、街が赤に染まり、広島と聞けばカープを思い出す。清水エスパルスも同じくらい市民に浸透していて、ブランドカラーであるオレンジを街中のどこへ行っても見かけます。

生活の中に深く染みついた存在ですし、今後より一層そうなっていかなければならないと考えています。

――山室社長は千葉ロッテ時代、パフォーマンス的な面でも話題を振りまいたとうかがっています。清水エスパルスでもエイプリルフールに少しやられていましたが、今後もいろいろ期待して良いですか?

私は単に利用されているだけですから。決して自分がやりたいと言っているわけではありません(笑)。ただ、使えるコンテンツはとにかく全部使えとは言っています。

千葉ロッテはそれほど強くないチームでしたし、すごく有名な選手がいたわけでもなかったので、とにかく露出できるものは何でも使え、と。そう言っていたら広報が勝手に私を使い始めたので、迷惑していたんですよ(笑)。

私くらいでも発信力があるのであればどんどんやっていきます。監督や選手が語りかけてくれるのが一番強いとは思いますけど、対象によって変わってくる部分もありますから。私はやはりビジネスマンなので、経済やパートナー企業、一般市民の方などになるのかなと思います。