背番号8は「仮」

まず、前提として、頭に入れておかなくてはならない点がある。

現時点においては、あくまでも「A.INIESTA」と銘打たれた背番号8のユニフォームは正式のものではないというところだ。

そもそも、今季のJリーグにおいて、シーズン途中での移籍が認められる「第2登録期間」は2018年7月20日から8月17日である。

つまり、Jリーグ側がイニエスタの追加登録を受理して、正式承認できるのは最短でも7月20日なのだ。

現在のイニエスタの状況を表すならば、「ヴィッセル神戸との契約は完了したが、まだJリーグ所属の選手ではない」という表現が適切かもしれない。

「イニエスタは背番号8を身に着ける」ということが既定路線のように進んでいるものの、まだ何も決定してはいないというのが実情である。

「ビジネスマン」の辣腕を発揮か

さて、ここからが本題だ。

「今後ヴィッセル神戸がどのように対応していくか」という前述の件であるが、現在のところ、有力視されている手法は以下の二点だ。

まず、一つ目は「三田啓貴との契約を一旦解除して再契約。そして新たな背番号を与えて、上記の期間中に再登録する」というプロセスだ。

「Jリーグ規定の穴を突いた」とも言えるテクニックだが、一度契約を解除した選手と再契約をすること自体は違反ではなく、クラブと選手間に共通理解があれば「荒れる」ようなことも起こりにくい。

三木谷代表は自身のツイートの中で、イニエスタと三田との秘話を早くも明かしているが、当事者間で一種のわだかまりが残るようなことはなさそうだ。

無論、イニエスタに背番号8を渡そうとクラブが動いていることについて、記者会見より前に三田が知っていたかどうかは不明ではあり、「話の順序」を誤っていた可能性は否定できないが…。

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そして、もう一つ目の手法は「特例をJリーグに呑ませる」というパワープレーだ。

今回の移籍に際して、関係者界隈では「イニエスタをヴィッセル神戸に招き入れることが現実味を帯びた際、三木谷代表がJリーグ理事会や実行委員らに特例の受諾を求めるように打診していた」という噂が実しやかに囁かれていた。

補足するならば「我々(ヴィッセル神)はイニエスタをJリーグに連れてくることに尽力するので、Jリーグ側は柔軟な対応を…」という類のコンセンサスを早い段階で取りにいっていたということだ。

実際のところは「密室で行われる協議」になるため、事の真相は世に出ることはないだろうが、イニエスタ級の大物がJリーグ参戦となればリーグ側に大きなメリットが生まれることは確実。

他のクラブも、ヴィッセルを迎える試合での集客増加が見込め、さらに自クラブへ外国人選手を引き入れようとする際に「イニエスタもプレーしているリーグです」という宣伝文句を使えるとなれば、協力的になることも自然の流れだろう。

5月30日前後に改めて委員会が開かれ、そこで最終的な結論が出るのではないかと見られているが、Jリーグ理事会を統括する村井満チェアマンは「了承済み」とも言われており、Jリーグ全体が「VIPルール」を正式発表する日がきても不思議ではない。