近年キリアン・エンバッペ(パリ・サンジェルマン)など若きタレントが多数台頭し、育成面でも注目が集まっているレ・ブルー(フランス代表)。その育成力の源とされているのがフランスサッカー連盟(FFF)のトレーニング施設、INFクレールフォンテーヌだ。

筆者は今回、そのINFクレールフォンテーヌのディレクターを務めるジャン=クロード・ラファルグ氏の指導者講習会に参加した。エンバッペを育てたことで知られる育成のエキスパートから直で聞いた話を織り交ぜながら、フランスの育成流儀に触れてみようと思う。

全国15カ所にある育成機関「INFクレールフォンテーヌ」

まずはINFクレールフォンテーヌの機能を簡単に説明しよう。日本でいうジュニアユース世代(中学年代)の有望株の育成センターが中心業務となっているこの施設は天然芝6面、人工芝2面の計8面のピッチを有している巨大なトレーニング施設である。

A代表の選手が代表招集時に宿泊する宿舎や育成センター生の寮、その他にもジムやレストランにレクリエーション施設も兼ね備えた一種の複合リゾート施設となっており、選手たちが過ごしやすい環境になっている。クレールフォンテーヌというのはこの施設があるパリ郊外の都市の名前だが、転じてフランス全土に15ある連盟立の育成センターを指す場合が多い。15のINFは各地域に散らばっており、海外県のレユニオン(南アフリカやマダガスカルの近く)とグアドループ(カリブ海)にも置かれている。

ここに入所する子どもは「オーディションで選ばれる」のだという。12歳の子を対象とするこのオーディションには、イル=ド=フランス地域圏の子どもたちを対象とするクレールフォンテーヌ本部だけでも約2000人が応募するそうだ。この地域圏の人口はフランスの全人口の18%を占めるので、単純計算すれば15のINFトレーニングセンターに約11,100人の子どもたちが応募してくることになる。日本で言うと大体AKB48や乃木坂46のオーディションくらいの規模なのだろうか。