モラヴァツは無意識のまま病院へと搬送され、数日間は昏睡状態が続いていた。幸いにも意識こそ取り戻したが左手は重症を負っており、医師からは切断する以外の術はないと伝えられた。

腕を失い、プロサッカー選手からの引退も余儀なくされたモラヴァツだが、「新しい生活に適応しなければない」とリハビリを再開。

悲しみに打ちひしがれてもおかしくはない状況であったが、「私の目の前にはまだ人生が残っていて、何かを成し遂げる可能性もある」とポジティブに捉えたのだという。

そんなモラヴァツにとって大きな存在となったのが、かつて所属していたマリボルだった。

マリボルはモラヴァツにどこまでも寄り添い、手助けする方法を一緒になって探したのだそうだ。

そしてモラヴァツは「今後も何らかの形でサッカーの世界に身を置いていたい」と考えるようになり、マリボルは審判に転身するためのトレーニングを提案。

「もしフットボールのために生きたのなら、フットボールはどんな時でも助けてくれる」と話し、実際に少年サッカーの試合を裁く経験を持つなど、サッカー界での新たな夢に向かって立ち上がった。