今晩21時、フランスの地で、日本代表がいよいよ「サッカー王国」ブラジル代表に挑む。

ここ数日は、当然ながらサッカーメディアもこの試合の情報をこぞって扱い、その熱量も試合が近付くにつれてパワーアップ。日本代表戦士たちの生の声は、ひっきりなしにインターネットやテレビに乗って届けられ、「○○選手が注目」「○○選手が先発濃厚」といった見出しが、世間を騒がしている。

そんな中、先日とあるメディアで報じられた一つのニュースが気になった。

その内容は、「ブラジル代表はあくまでも次戦のイングランド戦がメインであり、日本戦はそれに向けた練習試合の位置付け。メンバーも『1.5軍』になることが決定的で、日本はブラジルになめられている」という類の話だった。

だが、果たして本当にそうなのだろうか。

その情報によれば、この遠征でのブラジル代表は、イングランドへ移動しやすい空港近くのホテル(一泊約1.3万円の二泊)を選び、日本に向けてコンディション調整がしやすい市街地でのホテルをあえて避けたらしい。

たしかに、この話だけを掻い摘むと、彼らの照準は日本戦ではなくイングランド戦に合わせていることは明らかだ。

だが、それを「なめている」と評するのは少し違うような気がする。「なめている」というより、総合的に判断した上で、適切なスケジュールを組んだまでではないか。

日本代表よりもチームの合流は遅く、限られた時間の中でイングランド戦の対応もしなくてはならないとなれば、当然の判断であると思う。

彼らのようにW杯で優勝を狙う――それが使命である――チームとなれば、「イングランドのような強豪との試合は、可能な限り万全な状態で挑みたい」と考えるのが至極当然だ。

仮に日本戦で大勝を飾ろうとも、イングランド戦で不甲斐ないパフォーマンスを見せては、メディアも黙っていない。逆に、日本戦が決して満足がいかない結果であっても、イングランド戦で結果さえ残せれば、万々歳である。

つまり、彼らが求められているものと課せられているものは、日本とは異なるものであり、各々に狙いと思惑があるというだけの話。だから、決して「なめている」わけではない。