話を仙台に戻そう。「ボールの奪いどころが中途半端になっている」のは、システムと選手の意識にズレが生じているからだ。
システム的にはリトリートした方が上手く行くのだが、選手のコメントを聞く限り、前から奪うことに重きを置いている。このズレを埋める方法は3つある。
1つ目は、5-4-1のままリトリートを基本とすること。2つ目は4-4-2に戻し、従来のプレッシングスタイルへ戻すこと。そして3つ目は、3バックは変えず、敵陣でボールを保持し、奪われた瞬間にすぐ奪い切るスタイルを構築すること。分かりやすく言えば、浦和とコンセプトを同じくするということである。
4戦勝ち無しという苦しい時期を過ごす仙台だが、指揮官は一貫して3バックを採用しており、試合途中で4バックに戻したことは1回もない。
この事実から、新たなチャレンジをモノにするという信念がひしひしと伝わってくる。恐らく指揮官は、「敵陣でボールを保持し、奪われた瞬間にすぐ奪い切るスタイル」を形にしたいと考えているはずだ。
そのためには、まずはビルドアップの質を向上させ、敵陣で試合を進められるようになる必要がある。今後指揮官は時計の針を戻そうとするのか。それとも新たな文化を根付かせるのか。仙台のこれからを左右する大きなプロジェクトとなりそうだ。
2017/04/23 written by ロッシ
筆者名:ロッシ
プロフィール:
1992年生まれ。1998年フランスW杯がきっかけでサッカーの虜となる。筆者の性格は堅実で真面目なため、ハビエル・サネッティ、長谷部誠、ダニエレ・ボネーラ、アルバロ・アルベロア、マッティア・カッサーニにシンパシーを感じている。ご意見・ご感想などありましたら、ツイッターアカウントまでお寄せください。
ツイッター:
@antelerossi21
【Qolyインタビュー】パリ五輪出場の東京ヴェルディMF山田楓喜、トッテナムのクルゼフスキを「自分の究極系」と語るワケ