ハリルは就任以来ダブルボランチを採用してきた。補完性の高いコンビを理想としており、バランサーと司令塔の組み合わせが好みだ。
だが、ハリルの志向する「縦に速いスタイル」は攻守のバランスを欠いている。よって、格上との試合ではバランサーを2人並べざるを得ない。負けが許されなかった先日のタイ戦でも同様の采配が見られたことからも、バランスをとるべく腐心していることが分かる。
現代表の攻撃を司る柏木陽介でさえ、タイ戦ではベンチスタートだったのだ。バランス重視の采配となれば、柴崎の出番は自ずと限られる。この現状こそ柴崎が抱えるジレンマのひとつ。「ポスト・遠藤保仁」として期待されながらも代表に定着できていないのだ。
更に、最適なポジションについても論じたい。最近のアントラーズでは、従来のボランチではなく、4-4-2の2列目としてプレイするケースが増えている。
この背景としては、「遠藤康、中村充孝の離脱」「守備力の高い永木亮太の重用」が挙げられる。どちらも苦しいチーム事情が要因であり、2列目での起用を一時的とする見方もできる。
果たして2列目での起用は得策なのだろうか。
18日のジュビロ磐田戦では、鈴木優磨への絶妙なスルーパスでPK獲得をお膳立てした。また、右サイドバックの伊東幸敏との連携にも冴えを見せ、攻撃に奥行きをもたらした。