実際の野球を話してみよう!

第2日目のレッスンは、それをさらに実践的に。実際に行われた野球の試合を見ながら、台本なしでコメントをつけていくのだ。もちろん、何が起こるのかは分かった上でやるわけなので、実際の形とは違うわけだが。

担当はもちろん前回と同じく牧田衞活先生だ。ご自身で実況されたという高校野球選手権滋賀大会の映像が題材である。

実況には「ト書き」「セリフ」、二種類の要素が入っている。前者は現実の状況や情報を知らせるもの。後者はインプレーの内容を言葉にしていくものだ。

この2つは当然テンションの違いがあり、前者で騒ぎ立てれば伝わらず、後者で静かにやっていても盛り上がらない。短い間にギアを入れ替えていくことが重要であるという。

とはいえ、これはスポーツ実況であり、「楽しさ」や「興奮」を伝えていかなければならない。たとえト書きであっても、明るくテンションを高くやっていくことも大切だ。

その「切り替え」という点で、やはりもっとも簡単なのは野球なのだという。場面が止まることが多く、整理しやすいのが特徴で、多くのアナウンサーが客席での練習から始めているそうだぞ。

場面は滋賀大会準決勝第二試合、近江高校対米原高校。大津皇子山球場で行われた試合の6回裏。青いユニフォームの近江高校が2点をリードしている状況で、2アウトながらランナー1,3塁のチャンス。フルカウントでバッターの久保田選手が右中間を抜けるスリーベースを放った場面だ。

ここまで6時間の研修を受けたにもかかわらず、やってみるとどうしても言葉を選ぶときに一瞬遅れてしまう! 次に起こることはわかっているのだが、その合間の秒数を埋めるのが難しいのだ。

お盆期間の休みで練習ができたため、牧田さんからは「前より良くなった」とありがたいお言葉。ただ、やはり言葉のチョイスで「迷いがある」との指摘を頂いた。まさに!である。

また、特にニュース読みに慣れている女性は「明るく興奮を伝える」という点でトーンにも苦しんでいたようだ。「テンションを上げると甲高くなってしまう・・・」という悩みも聞かれたぞ。もしかしたら、放送で女性の実況手が少ないのはそういう理由もあるのかもしれない。

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