サッカー大国アルゼンチンといえば、世界有数の情熱的なサポーターを持つことで広く知られている。

彼らが自らの人生を愛するクラブに捧げていることは、昨年のクラブ・ワールドカップで来日し各地で大騒動を巻き起こしたリーベル・サポーターを見れば一目瞭然であろう。そのリーベルと、宿敵ボカによる「スーペル・クラシコ」の熱さは間違いなく、世界最高峰の水準である。

だが、英国紙の『UK Football』が2008年に発表した世界のサポーター熱狂度ランキングにおいて、アルゼンチンの中でリーベル(20位)、ボカ(23位)を上回る14位に入ったクラブがある。

それがロサリオ・セントラルである。

英国人労働者によって1889年創設された、アルゼンチンで最も歴史を持つクラブの1つであるセントラル。

過去に国内リーグで4度、1995年にはコパCONMEBOLを制し、国際タイトルを獲得した古豪だ。

ビエルサのような優秀な指導者を輩出し、幼少期のメッシを育てたニューウェルス・オールドボーイスとの「ロサリオ・クラシコ」は、ボカとリーベルのそれに負けないほど“危険”な盛り上がりを見せる。

こちらはクラシコの映像ではないが、彼らの熱狂具合がお分かりいただけるだろう。

ただ一部の狂信的なサポーターはその過激さゆえにたびたびトラブルを起こしている。

2011年には故郷に里帰りしていたニューウェルス育ちのメッシを殴りつけ、世界的なニュースになった。2013年の暮れにはニューウェルスのファン2人を拳銃で射殺するという痛ましい事件も起きている。

また、2014年のボカ戦ではサポーターの投げた石が相手GKアグスティン・オリオンの頭を直撃し、流血する事態ともなった。

そうした問題行動とクラブへの過度なプレッシャーが影響してか、セントラルは国内リーグの優勝から30年遠ざかり、近年は国際舞台はおろか2部に低迷する厳しい時期を送っていた。

しかし昨シーズン、30チーム体制で行われたリーグ戦で3位に入り、今年のコパ・リベルタドーレスに10年ぶりの出場を果たすなど、ここにきて復活の兆しを見せているのである。

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