2004年、ポルトでチャンピオンズ・リーグを制覇した新進気鋭のモウリーニョは、ロマン・アブラモヴィッチ体制2年目のチェルシーにやってきた。

おそらくメルカートにおける“爆買い”を私が初めて目にしたのは、前年の2003年のチェルシーであった。続くこのシーズンには、アリエン・ロッベンやディディエ・ドログバ、ペトル・チェフらを獲得。そして彼がポルトから連れて来たのは、リカルド・カルヴァーリョとパウロ・フェレイラであった。

ずばり、意外だった。

どのサイトや雑誌を見ても、確実にチェルシーに加わるのはポルトのベストプレーヤーであったデコだったからである。しかし、その時モウリーニョが言った言葉を、私は今もはっきりと覚えている。

「イングランドのクラブの中心選手は、イングランド人であるべき」と。

彼は前年のチームで存在感を示したフランク・ランパードを重宝し、ジョン・テリーと共にチームの中心人物に据えた。そこからのサクセスストーリーに関してはご周知の通りである。

外国人プレーヤーの増加がたびたび話題に上るプレミアリーグ、それが結果としてより国際的なフットボールの質を生んだことは確かであるが、私はどうしても前線の2枚のフォワードであったり、キック&ラッシュといった激しいイングランドのスタイルが懐かしく思えてしまう。

ヨーロッパで他国のビッグクラブに異常に嫌われたあのフットボールを、モウリーニョは甦らせてくれるかもしれない。そしてウェイン・ルーニーのキャリアのエンディングに、更なる栄光をもたらしてくれるだろう。モウは過去度々ルーニーを賞賛してきた。

かつての“あのルーニー”と“スペシャル・ワン”…ああ、ここまで散々理想や空想の話をしてきたが、いま俯瞰してこのコラムを見てみると、確かなことは、私が懐古主義者であることのみのようだ。私も“進化”しなければ。ユナイテッドの勝負の3か月に注目したい。

筆者名:榎本耕次

プロフィール:90年代後半から2000年代初期にかけてフットボールに目覚める。マンチェスター・ユナイテッド一筋。ユナイテッド、プレミアリーグ関連の記事を中心に、自由なトピックで執筆中。一番好きな選手はロベルト・バッジョ。アイドルはデイヴィッド・ベッカム。あまり大きな声では言えませんが、正直圧倒的にイングランド代表を応援しています。なにかあればTwitterアカウント: @KJE_Footballまで。異論反論大歓迎です。
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