先日メディアで報じられた通り、ワールドカップ・アジア予選を戦っているグアム代表は、8月末から日本で合宿を行うことを決めた。
彼らは9月3日にイラン代表とのアウェーゲームを控えており、その直前の準備を行うためだ。
しかし、よく考えれば理解が難しい話である。会場は日本から地球の4分の1は離れたイランであり、この夏の日本も合宿地として良い環境とは言えない。
少なくとも、いくら関係が良いとしても直後の試合会場と4、5時間も時差がある場所で合宿をしようとは思わないはずだ。
そんな状況になったのはなぜか?筆者も疑問に思っていたのだが、『ESPN』の報道によればそこにはのっぴきならない政治的な理由があったようだ。
どうやら、当初グアム代表は合宿を試合の一週間前からカタールで行うように計画していたという。
グアムはアメリカ合衆国領であるため、正式にはイランとの間に国交がない。よって、国内でイランへの入国をするためのビザを取得することが出来ないのだ。
そして在カタールのイラン大使館で入国するためのビザを取得する予定であったのだが、キャンプは5日間しかないにもかかわらず、手続きにかかるのは7日間であると通告されたという。
グアムはワシントンに選手のパスポートを送って手続き(パキスタン大使館を経由して取得する形)を進めていたものの、その手続きに最大3週間がかかることになったという。
困ったグアムサッカー連盟はパスポートの返却を求めるとともに、急遽合宿地を日本の大阪に変更し、国際サッカー連盟(FIFA)及びアジアサッカー連盟(AFC)に訴えを起こし、なんとか試合の開催を可能にするよう求めているとのことだ。
リチャード・ライ
(グアムサッカー協会会長)
「我々は、カタールのイラン大使館に全てのビザを取得することを頼んだ。彼らは、それは不可能だと言ったんだ。トレーニングキャンプは5日間で、ビザ取得には7日間かかるというんだ。
イランは2003年、我々に19-0で勝利したとき、我々のチームが到着した際にビザを与えてくれたはずだ。なぜ今日になってそれが出来ないのだ?
9月3日の試合が行えるのかどうか。それはAFC、あるいはFIFAが判断するものだ。状況を改善する方法は分からない。試合の日程を変えるというのもあるかもしれない。
私はアメリカとイランの間に政治的な対立があることは知っている。しかし、サッカーをプレーするためにビザを取得する選手達に影響を与えてはならないよ」