次期日本代表監督の噂があがっては消え、あがっては消えている。今回は有力候補の1人と目されていたミカエル・ラウドルップ氏の手腕を軽く見ていきたいと思う。

ミカエル・ラウドルップ氏とは?

ミカエル・ラウドルップといえば、現役時代はバルセロナからレアル・マドリーへの禁断の移籍をしデンマークでは伝説の選手の1人だ。両チームをまたいでリーガ・エスパニョーラ5連覇を達成したのは彼が史上初である。

レアル・マドリーから当時JFL(2部相当)のヴィッセル神戸に移籍し日本でも1シーズンプレーした。「大震災の神戸を元気づけたい」という意図だったというが、退団時の印象はあまりよくなかったと言われている。後にアヤックスへ移籍し、1998年W杯ではブライアンと共に「ラウドルップ兄弟」として注目を浴びた。デンマーク代表といえば、1992年の欧州選手権での優勝が有名だが大会メンバーからは選外となっている。


現役時代のラウドルップ氏、いわゆる一人でゴールもアシストもできポジションも複数こなせるプレイヤーだった。

1998年W杯後に現役引退、2000年にデンマーク代表アシスタント・コーチから指導者としての道を開始する。ヘタフェ、スウォンジー・シティをはじめ欧州のクラブを指揮し、今シーズンよりカタールのレフウィヤで指揮を執っている。


戦術は?

戦術は4-2-3-1システムを基本としている。デンマーク代表時代からほとんどのチームで同フォーメーションを使用、スウォンジーでは4-3-3フォーメーションも見られた。

いわゆるショートパスでしっかりとつないでいくスタイルを得意としている。ポゼッション率は高くスウォンジー時代は約55%の支配率に、試合によってはプレミアリーグで一番パスをつないだ。一方で、パス一辺倒になるのではなくアクセントの付け方がうまく、ロングパスやサイドバックのオーバーラップも忘れていない。

ヘタフェ時代に指導を受けたダビド・ベレンゲルは『The Guardian』に対して「攻撃サッカーの権化」と彼の戦術について語っている。ラウドルップは、バルセロナ時代に指導を受けたヨハン・クライフのドリームチームから影響を受けており「私は攻撃的なマインドを持っている。ナイーブなアウェーでもだ。サッカーは非常に簡単なものだ。ボールを持っている時とボールを持っていない時しかないからだ。」と回答している。

ここまでの字面を見ると、日本人好みで魅惑的なサッカーに見える。ヘタフェでは国王杯準優勝、スウォンジー・シティではキャピタルワンカップ優勝、デンマーク代表では2002年のW杯決勝トーナメントを経験している。

だが、インターネット上で彼の評価は今一つ高くない。それを紐解くカギが指導歴にある。

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