アメリカ領サモアをご存知だろうか?2001年にオーストラリア代表相手に0-31で敗れ、長らくFIFAランク最下位に沈んでいたオセアニアの島国である。
そんな、アメリカ領サモアはオランダ人監督トーマス・ロンゲンのもと、"軍人"、"第三の性"、"31失点の悪夢をトラウマに抱えるGK"など個性的な選手を擁し2014年W杯予選で目覚ましい活躍をする。そんな姿を映画にした「ネクスト・ゴール!世界最弱のサッカー代表チーム0対31からの挑戦」として昨年公開された。
トーマス・ロンゲン監督とアメリカ領サモアの選手
今回は、そのチームからトランスジェンダー(第三の性)のサッカー選手として世界で初めてW杯予選に出場したジャイヤ・サエルアを直撃した。
編集部Q(以下、Q)-アメリカ領サモアは決してサッカーが盛んではないと聞きますがいつ頃からサッカーを始めたのでしょうか?
ジャイヤ・サエルア(以下、略)ー小学生の頃にサッカーを始めました。私立学校で唯一プレーできるのがサッカーでしたが、男女混合のチームで非常に間口が広く感じたのが良いなと思いました。小学生年代では国内のチャンピオンにも輝きました。
Q-14歳でA代表入りを果たしていますが、これは非常に若いですよね?
はい、確かに14歳でA代表チームに初招集されましたが、初出場は17歳になります。確かに少し若いですが、 アメリカ領サモアでは17、18歳でA代表に初招集されるのが標準的なので若い選手は多いです。
アメリカ領サモア代表のトレーニングジャージに身を包むジャイヤ
Q-(映画ではトランスジェンダーの選手として紹介されていますが)いつ頃からご自身がトランスジェンダーだと気付いたのでしょうか?
小学生の頃です。サッカーをする以外は、女の子の友達が多く、いつも女の子と一緒に遊んでいました。その頃にだんだん自分の心に気がつきました。
Q-サッカーではセンターバックとしてプレーしています。トランスジェンダーのイメージとは違う様な気もしますが?
元々はストライカーとしてプレーしていました。それが代表チームに入った後右ウイングにコンバートされ、その後センターバックにコンバートされました。18歳頃だったと思います。(映画では試合前に髪をカールし、化粧をすることが描かれているが)
センターバックはフィジカル的な勝負が多く、確かに身体や顔に怪我を負うこともあります。でも、試合ではチームのために全力を尽くす一人の戦士です。そうしたことは気になりません。
Q-映画ではポリネシアの文化では第三の性がFA FA FINEといった名で好意的に捉えられている描写がありました。
はい、アメリカ領サモアではFA FA FINEと呼ばれ、実際に受け入れられています。学校の教師や政府高官に就いているFA FA FINEもいます。サッカーは私が初めてですが、他のスポーツ、ラグビーやバレーボールなどの選手にもFA FA FINEはいます。
反対にアメリカに渡った際には苦労しました。ハワイ大学の男子サッカーチームに入ろうとしたのですが、自分の力を見せる機会さえ与えてくれずウォーミングアップの段階で帰らされました。大学ではダンスの勉強をしていました。