今回のW杯で最も成功だったのは、バニシング・スプレーを導入したことだったかもしれない。

W杯としては史上初めて使用され、全64試合でスムーズなレフェリングに一役買ったバニシング・スプレー。これまで南米や韓国など一部のリーグでの使用実績はあったが、今大会でついに導入が実施され関係者からも高い評価を得ていた。

そして現在、セリエBリーガ・エスパニョーラでの導入が検討されており、UEFAチャンピオンズリーグでは新シーズンからの使用が事実上決定している。

そんなバニシング・スプレーの大活躍を受けて、ウハウハな人がいるらしい。バニシング・スプレーを製造する会社で特許権を持つエイニ・アッレグマーニェ氏だ。

バニシング・スプレーは現在、プレミアリーグでも導入が検討されており、世界中のリーグで普及することにより莫大な資金を得ることになりそうだと英国『Mail Online』は伝えている。

ハイニ・アッレグマーニェ

「このスプレーがW杯で初めて使用されているのを見た時は、魔法にかかったような瞬間だったよ。私は人生の14年間を、このアイディアに捧げてきたんだ。

審判がこれを使ってからというもの、家族や友人から数々のメッセージを受けはじめた。

感情的になって涙が溢れ出てくるなんて初めてのことだった。『私はクレイジーじゃなかったんだ。それだけの価値があったんだ』と思ったことを覚えているよ」

アッレグマーニェさんはサンパウロとブラジリアの境にある小さな街イトゥイウタバで幼少期を過ごす。5人兄弟でありながら3部屋しかない家で暮らしたが、その時のことも回想している。

「私たち兄弟は小さな部屋で一緒に眠っていたんだ。おもちゃなんて一つも持っていなかったし、服だってなかった。8歳になれば、親は私を外で働くように仕向けたよ。

経済的に得るものが、私のこの14年間の苦悩に見合うものであることを私は願う。これまで高額な出費をしてきた。この仕事に専念するため、私は子供の成長を見ないという選択をしたんだ(おそらく単身赴任のため)」

ちなみに『ITV』によれば、1缶あたりのバニシング・スプレーの価格は3ポンド(およそ523円)。今大会のために320缶(計16万7360円分)をFIFAに提供したというが、これは1試合あたり5本分用意した計算になる。

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