2014年5月9日。東京都港区にある電通本社ビルでは、多くの関係者が開演の時を待っていた。このセミナーに応募したのは730名以上。主催者側は当初400名の定員を予定していたが、急遽会場のレイアウトを変更し、今回のセミナーが行われたという。
会場では日本サッカー協会およびJリーグ関係者が多数出席し、Jリーグのアジア戦略を引っ張る中西大介競技・事業本部長の姿もあった。また、若い人の姿も多く、中でもスポーツマーケティングを専攻している学生からは100名以上の応募があったという。いずれにしても、それだけの人がアジアサッカーの未来に興味を抱いているということなのだろう。
セミナーはまず、電通スポーツ局サッカー事業室アジア部長、大井義洋氏の進行によってアジアサッカー全体の動向が紹介された。
アジアサッカー最大の特色はその時差であると、大井氏は強調する。
AFC(アジアサッカー連盟)は47の加盟国が抱えるが、東アジアと西アジアの間には最大8時間の時差があり、選手の移動やキックオフ時間の調整にも大きな影響を与える。ひとえに「アジア」と言っても果てしなく広大であるのだ。
また、東南アジアにおけるサッカー熱の高まりを具体的に示した興味深いデータも紹介された。李忠成が芸術的なボレーシュートを叩き込み、日本代表が史上4度目の優勝を飾った2011年のアジアカップ。その大会のFacebookページの都市別に見たアクセス数ランキングがこれだ。
1位:ジャカルタ(インドネシア/不出場)
2位:クアラルンプール(マレーシア/不出場)
3位:リヤド(サウジアラビア/出場)
4位:東京(日本/出場)
5位:ドバイ(UAE/出場)
なんと、本大会に出場していないインドネシアとマレーシアの都市が大会ページに最もアクセスしていたというのだ。クアラルンプールの人口はおよそ158万人である。これは東京のおよそ12%に相当し、東南アジアの人々が欧州サッカーだけではなく、アジアサッカーにも興味があることを物語っている。