辛口の批評家として活躍するロビー・スレイター氏は常々主張している。「Aリーグの成長はオーストラリア代表のためになっていない」と。

国内のチームはわずか9(ウェリントン・フェニックスはニュージーランドからの越境参加)、さらに5枚の外国人枠が用意されているため、自国の選手に与えられるチャンスが乏しい。最悪の場合レギュラーの自国人が6×9=54人しかいない状況になるわけだ。

ハリー・キューウェルやブレット・エマートン、マーク・ヴィドゥカなどの“黄金世代”はずっと場を与えられてきたが、今の若手にはアピールする機会すらないと。

「ベテランに頼ってきた」といわれていたホルガー・オジェック前監督は、10月11日のフランス戦で大敗した直後に解任された。後を継いだのはメルボルン・ヴィクトリーを率いていたアンジュ・ポステコグルー氏。ギリシャ生まれの彼は、初めてAリーグを経験した代表監督である(カナダ戦を暫定的に指揮したアウレリオ・ヴィドマーを除けば、であるが)。

この人選には「国内の才能を発掘して欲しい」という協会からのメッセージが含まれていることが容易に想像できる。初戦となったコスタリカとの親善試合では、ジェイソン・デイヴィッドソンやマシュー・レッキー、マシュー・ライアンをスタメン起用。ホランドやボザニッチの招集なども含め、若手への期待を覗かせた……が。