第91回全国高校サッカー選手権大会は、宮崎県代表の鵬翔高校が初優勝を飾った。決勝戦の延期という不慮の事態にも決してめげることなく、2度のリードを奪われながらもPK戦を制して全国制覇を果たした。まさに「信じる者は報われる」である。
しかしこの決勝戦には、信じつつも報われなかった存在があった。
それはテレビの視聴者である。決勝戦の延期という緊急事態を受け、日本テレビではこの決勝戦を全国的に生中継で配信することができなかった。このことが試合内容以上に大きな話題となったことは、サッカーファンなら既にご存知だろう。ソーシャルメディア上でも多くのサッカーファンがこの対応に対して疑問や苦言を投げかけ、終始批判を繰り返していた。
▼高校サッカー決勝戦の放送をめぐる経緯
今回の一件をまとめてみよう。
周知の通り、今年の高校サッカー決勝戦は14日(月)に関東地方を襲った寒波の影響を受け、史上初となる「悪天候による延期」となった。そして、運営側が協議した結果、5日後の19日(土)の開催が決定された。
さて、問題はここからである。当然、日本テレビは番組の再編成に動いた。電通を経由したスポンサーとの交渉が急ピッチで進められたことが予想される。そして日本テレビは一つの答えを出す。それが、録画によるディレイ中継の決行だった。
この情報は瞬く間に拡散し、全国各地で落胆の声があがった。結局、日本テレビは直前になってテレビ神奈川と宮崎放送での生中継を整備したが、それ以外の地区では基本的に全域でディレイ放送が行われることとなった。決勝戦を戦った京都橘高校がある京都府では20時からの放送だったという。
そしてトドメとなる出来事が起きてしまう。
決勝戦が90分では決着がつかず延長戦、さらにはPK戦にまで突入してしまったのである。急遽番組編成を迫られた日本テレビは、録画での全国中継の尺を90分しか用意していなかったため、録画中継では前後半が大量にカットされるという事態が起きてしまった。そのため、「試合開始数分にしてCMが明けると前半40分まで時計が進んでいた」などという報告までされた。これらの経緯を経て、少なくとも私のタイムラインでは、日本テレビに対して、非難の感情が爆発していた。