「夏に鳴り物入りで加入したかと思えば、冬には別のチームへ移籍していた」ということも決して珍しくない現代のサッカー界。
シーズン中に何度も所属クラブを変えることは、FIFAのルールによって防がれているが、生涯を通して10クラブ以上でプレーした選手も決して少なくはない。現役生活をたった1つのクラブで過ごすことを理想とするフットボーラーは多いだろうが、実際にはこの上なく難しいことを誰しもがわかっているだろう。
だが、その理想的ともいうプロ生活を送った男たちが存在しないわけではない。
『bleacher report』の人気コラムニスト、アラン・ジャンが激選した「1つのクラブでプレーし続けた、サッカー史上に残る偉大な10人」を元に、「自身が愛するクラブに骨を埋める」という夢を叶えたレジェンドたちを振り返ってみよう。
マティアス・シンドラー(オーストリア・ウィーン:1924~1939)
「オーストリア代表史上最高のプレーヤー」との呼び声も高い、伝説的なストライカー。クラブチームはもちろんのこと、「ヴンダーチーム」と呼ばれ、強豪国から警戒されていたオーストラリア代表においても中核として活躍した。しかし、「悲運の名選手」としても知られ、39歳でこの世を去った際の死因は一酸化中毒死。当時は事故死と発表されているが、晩年に「統一ドイツ代表」への参加を頑なに断ったことなどによる暗殺説や自殺説など、未だに多くの謎を残している。
リカルド・ボチーニ(インデペンディエンテ:1971~1991)
あのディエゴ・マラドーナが少年時代に憧れた名ゲームメイカーで、そのプレースタイルは、例えるならば「運動量の少ないチャビ」。長短のパスワークでチームにリズムを与えるだけではなく、「bochinesco」とあだ名が付けられるほどの一撃必殺のキラーパスで数え切れないほどのアシストを積算した。ちなみに、彼が築き上げた740試合という出場数は、アルゼンチンのトップリーグにおいて歴代一位の記録。