サッカー界に異例の平和賞が誕生する。
国際サッカー連盟(FIFA)は6日、新たに「FIFA平和賞」を新設し、12月5日にアメリカの首都ワシントンDCで行われるワールドカップ抽選会で授与する計画だと発表した。世界各国の複数メディアも報じている。
FIFA会長のジャンニ・インファンティーノ氏は、この賞はサッカーが人々を結びつける道徳的責任をさらに推進するものだと述べた。
「不安定で分断された世界において、紛争を終わらせ、人々を平和の精神で結びつけるために尽力する人々の卓越した貢献を称えることは極めて重要です。サッカーは平和を象徴しており、世界中のサッカーコミュニティを代表して、この賞は未来の世代に希望をもたらす個人の多大な努力を称えるものです」
FIFAの発表によれば、この章は今後、毎年世界の平和に尽力した一人が選ばれて授与されるという。
だが大手複数メディアは、今回のFIFAの平和賞新設のタイミングが、ノーベル平和賞に強い関心を寄せていたアメリカ大統領のドナルド・トランプ氏の動向と重なっていると指摘している。
今年のノーベル平和賞がベネズエラの野党指導者マリア・コリナ・マチャド氏に授与された後、ホワイトハウスの高官たちはこの決定を「平和より政治」と非難した。数日後、共和党下院議員マイク・ジョンソン氏は、イスラエル議会のアミール・オハナ議長と連携し、世界の議会指導者たちとともに、トランプ氏を来年のノーベル平和賞に共同で推薦する計画を明らかにした。
FIFAは最近、2026年ワールドカップのチケット売上の一部を出資する1億ドル規模の教育プロジェクトの理事会にトランプ氏の娘イヴァンカ・トランプ氏を任命すると発表。インファンティーノ氏はトランプ氏との関係を強化している。
アメリカメディア『ESPN』は、12月5日のワールドカップ抽選会に出席予定のトランプ氏が初代受賞者になるのかという質問に対して、インファンティーノ氏は「私はトランプ大統領と非常に良い関係を築いています」と話した上で「12月5日になれば分かります」と現時点での明言を避けた。
イギリスメディア『The Guardian』は、この平和賞がかえってスポーツと外交の境界線が曖昧になるのではないかと指摘しており、12月5日は「サッカーは政治を超えた存在である」というインファンティーノ氏の主張が試されると伝えている。
同日の抽選会と平和賞授賞式が、単なるスポーツ行事を超えて国際的なメッセージの場となるのか、あるいはFIFAとトランプ氏のビジネス的な結びつきがより顕著な形として表れてしまうのか注目されている。