かつてブラジル代表やユヴェントス、インテルなどで活躍した名MFエルナネスが、「現代サッカーは社会主義的すぎる」と警告した。
エルナネスは1985年生まれの40歳。サンパウロの下部組織で育ち、ユース時代から「中盤ならどこでもこなす天才MF」として評価され、2010年にラツィオへと移籍してヨーロッパに進出した。
インテル、ユヴェントスでも中心選手として活躍を見せる一方、ブラジル代表でも2013年のコンフェデレーションズカップ、2014年のワールドカップに出場。知的で勤勉なプレースタイルから「預言者」との異名をとった名選手だ。
2022年に現役を引退してからはイタリアでDAZNの解説者を務めながらワインや食品に関するビジネスを行っているという。
『La Stampa』によれば、エルナネスは22日に行われた『l’Alfabeto del Futuro』というイベントに出席し、インタビューで以下のように答えていたという。
「もし今僕が若者であったら、プレーする機会すら与えられないかもしれないね。コーチは体格や戦術、役割ばかりを重視して、僕みたいな細身で足が遅い選手のことなど忘れてしまうだろう。
先週の日曜日、ミランとフィオレンティーナの試合が行われていた会場のスタンドに、あるファンが大きな横断幕を掲げていた。『現代サッカーに反対』と書かれていたバナーをね。
私も同感だ。かつてのサッカーは資本主義的だった。誰もが自分の仕事をして、個人主義がベースにあった。集団よりも個人が優位に立っていて、だからこそ偉大な選手や偉大なプレーが生まれていた。
しかし、いまは社会主義的になりすぎている。フィジカルや統計、ボールポゼッション、集団だけが重要であり、個人主義はもはや存在しない。それぞれの個人がアレコレと決めることができなくなっている。
だが人生においては、物事は白か黒かの2極に分けられるものはほとんどないのだ。ユヴェントスのユニフォームを除けばね。
人間の経験が統合されなければならない。個性が重要なんだ。サッカーが美しいスポーツである理由もこれだ。
なぜなら、サッカーは『あらゆるスポーツの中で最も民主的なもの』だからだ。痩せている人も、太い人も、足が遅い人も、足が速い人も、賢い人も、そうでない人も、誰もがちゃんとプレーできる。サッカーはみんなのためのスポーツなんだ。この多様性を奪ってしまえば、サッカーの芸術性、ドリブルやパスの詩的な情景は失われてしまうよ。
物事はすべてをコントロールできるわけではないんだ。コントロールできないもののすべてをコントロールしようという過剰な欲求は、私にとっては厄介なものだ。なぜなら、もはや偉大な選手や素晴らしいプレーを見ることはできなくなっているからだよ」
登壇していた『La Stampa』の副編集長フェデリコ・モンガから「今のサッカーは好きではない?」と聞かれ、エルナネスは上記のように話していたとのことだ。
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様々なデータ分析の手法が進歩するなか、サッカーにおいて個人の重要性が低下しており、その結果驚きをもたらすようなプレーが少なくなっている…とエルナネスは感じているようだ。