イングランドWSLのエヴァートンは9日、スウェーデン1部のBKヘッケンからなでしこジャパンDF北川ひかるを獲得したと発表した。
北川は1997年5月10日生まれの28歳。JFAアカデミー福島に5期生として入校。2015年に浦和レッズレディースへ加入し、アルビレックス新潟レディースを経て、2023年からINAC神戸レオネッサでプレーした。
なでしこジャパンには2024年初めまでそれほど縁がなかったが、遠藤純の負傷離脱に伴い、北朝鮮とのパリ五輪最終予選に招集。左サイドで大きな存在感を示すと、そのままパリ五輪本大会にも出場し、ナイジェリア戦では見事なフリーキック弾も決めてみせた。
五輪後、海外初挑戦となったヘッケンで2シーズンにわたりプレー。カップ戦やチャンピオンズリーグも含めて24試合で4ゴールを記録したほかプレースキックも担当するなど、得点に絡むことのできるサイドバックとして結果を残した。
「ただ、最初の3ヶ月くらいは強いストレスを感じていました。いろんな不安があったし、プレースタイルも違うし。メディカルチェックもひとりでできなかったり、ゆっくりとつかれるバスタブがなかったり」と、移籍当初は上手くいかないことが多く、初の海外生活での戸惑いもあったという。
スウェーデンサッカー、特にヘッケンではフィジカルが求められ、北川は今まで以上に筋トレに励むことに。
「フィジカル面は負けなくなったし、自信もつきました。代表戦でも、『今までフィジカルが強い相手に対して大丈夫かな』というところがあったのですが、自信を持って立ち向かえるようになりましたね。スウェーデンでは守備の面を重点的に伸ばしたいと思っていたし、それがパリで感じた課題でもありました」と手応えを感じた1年を過ごした。
そして、まだヘッケンとの契約を残していた2025-26シーズン、世界最高峰イングランドWSLのエヴァートン移籍を決断。複数の選択肢の中から、自分がより成長できるクラブを選んだという。
「今回の移籍にあたっては自分が生きるサッカーを考えました。日本代表のプレースタイルに近いところも感じました。ここで何ができるか、まずはトライしたい。イングランドリーグにおける自分自身の現状を知りたいし、足りないものをひとつひとつクリアしていきたいですね」
さらに北川は「イングランドは自分が目指してきたリーグで、それは良かったし、楽しんでやりたいと思っています。スウェーデンを経由せずにダイレクトに行っていたら、できないことが多すぎて困っていたと思いますが、フィジカルを積み上げられたので、次に進める感じですね。日本人も多いし、違った意味でも楽しめるかな」と続け、笑顔を見せた。
日本代表に定着してきた感のある1年だったが、「まずはクラブで結果を出し続けること」と語る北川。「ヘッケンでも予選に出られましたが、やっぱりチャンピオンズリーグに出たいですね。もっと上に行きたいですし、そこでプレーできるチームになっていくことを目指したいです」と話し、今後の目標について以下のように語った。
「まずはチームに馴染んで、ポジションを取ること。最終的には、世界でトップのサイドバックになりたいと思っていて、イングランドで活躍できれば、そこにまた一歩近づくことができます。私自身、ひとつひとつ登っていくタイプ。また新しいチャレンジになるシーズンを迎える喜びを感じているところです」
北川の背番号はなでしこジャパンと同じ13番に決定。今季から男子チームが使っていたグディソン・パークをホームとして使用するエヴァートン・ウィメンにとっても大きな補強と言える。
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なお、エヴァートンは2日前になでしこジャパンDF石川璃音の獲得も発表。今季は林、石川、そして北川と3人の日本人選手が所属することになる。