「ここで敵チームとして対戦するのは新鮮な気持ち」

流通経済大を経て当時J3だったいわきに入団し、最先端の科学メソッドに基づいたフィジカルトレーニングなどにより比較的に成長。フィジカルの強さと優れたエアバトルによりルーキーイヤーで定位置をつかんだ男は、J2初昇格とJ3のベストイレブンに入るまでの存在になった。

いわきにとって初のJ2となった2023年シーズンも引き続き主力センターバックとして君臨し、チームの2部残留に大きく貢献してみせた。家泉は「走ること、戦うことはいわきで学んだ。そこはサッカーの基本だと思う。いわきはよりそういうところを強くやっていると思うので、しっかりと学べたと思います」と振り返った。

素早い動き出しでカバーリングを見せた家泉(右)

昨季は札幌がJ1、いわきはJ2にいたため対決する機会はなかったが、今季は直接対決が実現した。

背番号15にとっていわきは思い入れのある特別なクラブだ。試合前にかつての仲間にあいさつするシーンなども見られた。「ここで敵チームとして対戦するのは、新鮮な気持ちというか。試合はそういう感じがありました」といままでに感じたことがない思いでかつての古巣と火花を散らした。

かつての仲間との再会を喜ぶ家泉(中央)

試合終了後にはいわきサポーターへあいさつに出向き、サポーターともコミュニケーションを取ったという。辛いとき、折れそうなときも何度も温かい声援で助けてくれたファンに向けて「今シーズン苦しい状況で、これだけ応援してくれるのは本当にいわきの強み。負けや、引き分けが多かったとしても、ずっと温かい声で鼓舞(こぶ)してくれる。そういうところはいわきの良さだと思う。応援を続けてくれれば選手も『頑張ろう』と思えるので、力になるなと思います」とメッセージを送った。

サポーター思いの優しくも屈強な男は、赤黒の勇者としてクラブに忠誠を誓っている。遠いいわきに駆けつけて、熱い声援を送り続けたサポーターたちに今度こそ勝利の華を届けるために、次の一戦は必勝の覚悟で臨む。

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次節は17日午後2時にホームでカターレ富山を迎え撃つ。家泉は「きょうも勝っていないし、前回も負けている。ホームで勝ってしっかり波に乗っていきたい。もう勝つしかないぞということで、僕らもそれは分かっているので、サポーターと一緒に勝ちに行きたいなと思います」と赤黒のサポーターに勝利を届け、札幌を1シーズンでJ1復帰へと導く。

(取材・文 高橋アオ)

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