絶大な影響力を持つ頼れるキャプテン

この日先発したMF野嶽惇也、MF茂平は仙台の激しい攻勢に苦しめられたが、清武が入った後半は各々の長所が光る場面もあった。

野嶽は「(清武は前で)受ける選手なので動きすぎずに、惑わせる、相手の足を止める役割をしてくれたと思います」と、清武がターゲットマンになったことでチームの攻めの狙いが明確になり、攻撃の活性化につながったと明かした。

前半はキャプテンマークを身に付けて奮戦した野嶽(右)

大分アカデミー出身の清武は2008年にトップチームへ昇格し、プロデビューシーズンにチームの初タイトルであるリーグ杯優勝に貢献し、2010年からセレッソ大阪でプレーした。

2012年には海外へ挑戦し、ドイツ・ニュルンベルク、同ハノーファー、スペイン・セビージャで活躍した。日本代表は通算43試合5得点、2014年に開催されたワールドカップ・ブラジル大会コロンビア戦に出場と華々しいキャリアを歩んできた。

今季古巣に帰還したレジェンドを「ずっと目標にしていた選手」と尊敬している大分アカデミーの後輩の茂は、清武にボールが入ると自身がマークを引き付けるデコイランやゴール前へ駆け込むなどして存在感を見せた。

「(清武は)いてほしいところにいてくれるし、(自分たちに)パスが出てくると思うので、僕らも走り出せたから全然違いましたね。弘嗣くんがいることによって、みんな前に攻撃も出ていけるようになったので、これを前半からやりたかったというのが正直あります」と話すようにチームの攻撃のコンセプトを深く理解するチャンスメイカーの不在は前後半での明暗につながった。

豊富な運動量で攻守に貢献した茂

5シーズンぶりのJ1復帰を目指す大分にとって帰還したキャプテンの存在は重要になってくるだろう。ピッチ上で見せる洗練された技量や圧倒的なプレゼンスだけでなく、主将としての振る舞いにも期待を寄せられている。

片野坂知宏監督は「今シーズン(清武に)キャプテンをお願いしました。若い選手を含めていろんな選手によく声をかけてくれている。(この日は)サブメンバーでスタートしましたけど、先発の選手にすごくいい声がけをしてくれたので、そういったところでの清武の存在感は非常にある」と精神的な支柱としても背番号28は大きな影響力を示していた。

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初黒星を喫してしまったが、清武のプレーによって新たな光明が見えた。J1復帰のための原動力と期待されるキャプテンを筆頭に、チーム一丸となって次節ホーム・水戸ホーリーホック戦(9日午後2時、クラサスドーム大分)で開幕戦以来の勝利を飾りたい。

(取材・文 高橋アオ)

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