[第103回全国高校サッカー選手権、決勝、流通経済大学付属柏高(千葉県代表)1-1(PK8-9)前橋育英高(群馬県代表)、13日、東京・国立競技場]

決勝が行われ、流経大柏高はペナルティキック(PK)戦の末に前橋育英高に敗れて2007年度大会以来2度目の優勝を逃した。決勝では大会史上最多となる計20選手が蹴るPK戦となり、サドンデス突入の10人目のキッカーが失敗して決着が着いた。

J2カターレ富山内定のMF亀田歩夢(3年-P.S.T.C.LONDRINAジュニアユース)が前半12分に先制点を挙げる活躍を見せるも、同31分に同点弾を喫して試合は振り出しに。PK戦でファーストキッカーを務めた背番号8のキックは成功するも、接戦の末に準優勝となった。

別格の存在感を見せた背番号8

この日出場した選手で唯一のプロ内定を勝ち取った背番号8は左ウィングで先発し、別格のプレーを見せた。

前半12分に相手のボールをMF飯浜空風(てんか、3年-ジェファFC U-15)がインターセプトすると、FW山野春太(3年-tfaジュニアユース)とパス交換しながら飯浜がゴール前まで持ち運び、ラストパスを受けた亀田がドリブルで相手DF二人をはがし、右足でゴール左隅へ流し込んだ。

軽やかなドリブルを見せた亀田(右)

「決めたときはとても気持ちかったです。自分のドリブルから点を決めれたことはこれからにもつながります

得点後も左サイドから何度もチャンスを創出するも、追加点には結びつかなかった。別格の存在感を見せていただけに、前橋育英高の張り付くようなマークによりラストプレーを阻止された。同31分に痛恨の失点を喫し、延長戦でも決着が着かず。勝敗はPK戦へと持ち越された。

PK戦で一番手を託された背番号8は成功するも、10人目のキッカーが失敗。相手校のラストキッカーがネットを揺らしてPK戦8-9で死闘に幕が下りた。

試合終了後に落涙した亀田は「悔しいという気持ちより3年間つらかったこと、楽しかったことがよみがえって涙が出ました」と声を絞り出した。

この日はJ1湘南ベルマーレ内定のFW松本果成(かなる、3年-上州FC高崎)が準決勝東海大相模高戦で右ひざを負傷してベンチ外となった。主力選手を欠いて決勝を迎えたが、背番号12の想いを引き継いで戦った背番号8は終始違いを作りながら相手ゴールへと迫った。

左サイドからチャンスクリエイトを見せた亀田(右)

試合前に松本のユニフォームを掲げた亀田は「果成は自分より(上の)J1へ行くので、最初は果成の方が上だったことが悔しかった。きょうは果成がケガで出られなかったので、自分もプロになりますから責任を持ってプレーしました」と決勝に臨んだ。

高校サッカー屈指の強豪校、流通経済大柏が輩出した「最強の5人」

プロでの対戦時は松本を圧倒すると心に決めている亀田。高校最後の大会を終えて「高卒でも『プロ1年目から活躍できるぞ』というところを見せたいです」と決意を胸に富山での飛躍を誓った。

(取材・文 浅野凜太郎、写真 Ryo)

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