[第103回全国高校サッカー選手権準々決勝、静岡学園高(静岡県代表)0-0(PK4-5)東福岡高(福岡県代表)、4日、神奈川・Uvanceとどろきスタジアム by Fujitsu]

準々決勝が4日に関東圏各地で行われ、PK戦の末に静岡学園高が東福岡高に敗れ、国立切符を逃した。5大会ぶり3度目の高校日本一を目指す静岡学園高は前半から主導権を握った。華麗なパスワークからチャンスを作るも、最後まで赤い牙城を崩せなかった。

PK戦では主将のJ1川崎フロンターレ来季内定のDF野田裕人(ひろと)主将(3年-FC DIVINE)とFW乾皓洋(こうよう、3年-高石中央FC)がシュートを失敗。奇しくも野田が来季より加入が内定している川崎の本拠地である等々力で東海地方の名門校は涙をのむ結果となった。

果たせなかったチームメイトへの恩返し

野田はこの試合、右サイドバックとしてフル出場。流れの中で中盤や前線の高いポジションでプレーするなど攻守両面で存在感を見せた。

野田は「後半は押し込む時間が長く、そこで最後まで決めきれなかったところは課題。失点ゼロで4試合を終えられたという部分はこの1年間で成長してきたところ」と今大会を通してチームの成長を実感していた。

背後から激しく当たられるも、体を張ってボールをキープする野田(左)

背番号6の今シーズンは、ケガとの戦いだった。昨年の年明けから股関節の負傷で半年ほどチームから離脱していたため、インターハイ県予選を欠場。夏には中足骨を骨折して、後期の高円宮杯U-18プレミアリーグWEST、選手権県予選も欠場した。

「仲間のプレーをグラウンドの外から見ることが多かったのですが、自分一人の力ではここまで来れなかったです」とチームメイトへ感謝の気持ちを伝えた。

野田にとって静岡学園高での時間は、仲間に支えられ、人間として成長した3年間だったという。もともとリーダーシップをとるようなキャラクターではなかった野田が、チームメイトとともに高め合った日々が実直な主将を真のリーダーへと成長させた。

今大会でチームメイトへ恩返しをすることはできなかった背番号6だが、プロでの活躍が仲間への恩返しになると信じている。

「自分が(PKを)外して負けてしまったので率直に申し訳ない気持ちがあります。これを力に変えて自分の活躍やもがいている姿を仲間に見せて返すしかない。ここから頑張っていくしかないと思います」と言葉に力を込めた。

敗戦後、悔しさで顔を挙げられない野田

そしてJリーグで今大会の雪辱を果たすと誓った主将の目は、すでに来季を見据えている。

「静学を応援してくださっている方々や、もしかしたらフロンターレサポーターの方々も来てくださったかもしれない。こういう悔しい姿を見せてしまった。印象を変えるじゃないですけど、『自分はこんなもんじゃないよ』と、もう1回このピッチで(活躍を)見せるために頑張っていきます」

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選手権ではUvanceとどろきスタジアム by Fujitsuで悔し涙を流した。来季はこのスタジアムでファンを笑顔にする活躍を見せる。

(取材・文・撮影 Ryo)

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