12月3日AFCチャンピオンズリーグエリート(ACLE)のリーグフェーズ第6節で韓国の浦項スティーラーズと対戦したJ1ヴィッセル神戸。J1優勝がかかったリーグ戦を今週末に控える神戸はサブメンバー主体で挑み、これまで全勝だったACLEリーグフェーズで初黒星となった。

試合終了後、そんなヴィッセル神戸に思わぬアクシデントが降りかかった。

3日夜に韓国のユン・ソンニョル(尹錫悦)大統領が国内に戒厳令を布告した。

戒厳令は1979年に当時韓国の大統領を務めていたパク・チョンヒ(朴正煕)大統領が暗殺されたときをはじめ、軍部独裁政権時代の韓国において、軍事クーデターが起こった際に布告されるもので、民主化を求める国民を大量虐殺した『光州事件』の再来を危惧する声もあった。

しかし、布告から数時間で野党議員を中心に190人の議員(韓国国会の定数は300人)が集結し、戒厳令の解除要求を全会一致で議決。

現在、事態は一旦の終息の様子を見せている。

事案発生当時、神戸のスタッフ・選手や応援に駆け付けた一部のサポーターは韓国国内に滞在しており、彼らの安否や帰国の可否について心配する声も挙がっていた。

今回Qolyは韓国に遠征した2人の神戸サポーターに取材を実施。事案当時の様子や帰国の可否について話を聞いた。

意外と落ち着いていた韓国国内

事案発生時、SNS上では、戒厳令に抗議する民衆と韓国軍が対峙する様子や、ソウル上空に飛来する軍用ヘリコプターなどの動画が数多く投稿されており、緊迫する韓国国内の様子が日本にも伝わった。

試合後、浦項(ポハン)から釜山(プサン)に移動する高速バスに搭乗していたサポーターのOさんは、この戒厳令をSNS上で知ったという。しかし、夜遅くだったこともあり、バス車内は騒然とはならず、寝ている乗客も多かった。

釜山到着後も状況は変わらず、テレビでは戒厳令に関する報道を行っていたものの、一部の局では平常通りK-POPの放送を行っていたという。

事件中のテレビ画面。画面右側は国会に突入中の韓国軍の様子の中継(サポーター提供)

今回取材したもう一人のサポーターであるHさんも、SNS上で情報を知ったと語っており、現代のインターネットにおける情報の拡散力の速さも垣間見えた。