今シーズンも残り2試合となったJ1リーグ。アビスパ福岡は長谷部茂利監督と戦えるのも残り2試合となりました。

J2残留をギリギリで決めたチームを見事に建て直し、1年でJ1へ昇格。決して恵まれた戦力とは言えなかったチームを闘えるチームへ育て上げ、J1に定着させました。そして悲願のタイトルをもたらし、アビスパ福岡の歴史に名を刻んだ長谷部茂利監督。

ホーム最終戦で選手、サポーター、そしてアビスパ福岡が恩師のために闘うこの一戦は異様なものになるでしょう。何がなんでも勝利を収め、そしてトップハーフへ登り詰めるために、アビスパ福岡が勝たなければならないのが浦和レッズです。

昨年のルヴァン杯決勝で苦杯をなめた浦和レッズ。彼らも中断期間を経て、守備の安定感とカウンターを手にしています。昨季の借りを返すため、そしてトップハーフを目指すために、アウェイの地に乗り込んできます。

ではこの試合でアビスパ福岡が勝つために必要なことはどこにあるのか?これを考えてみようと思います。


予想スターティングメンバー

制限をかけて閉じ込める

長谷部・アビスパの真骨頂でもある守備。アビスパのゾーンディフェンスは芸術と言っても過言ではありません。連動しながら、制限をかけていくその様はまさに狩人です。相手は気が付けば狩場に誘導されてしまっています。

そこでアビスパはこの試合も同様にレッズに対して523のハイプレスを仕掛けていくと思います。浦和レッズの前進の部分はまだ整理されていないところがあるので、引っ掛けること、もしくは蹴らせて回収することは勝利の確率を上げていくために、必須事項だと思います。

しかし注意したいのがスタートから出てくるであろうサミュエル・グスタフソンです。守備プラン遂行から見事に勝利を収めた36節サンフレッチェ広島戦。この際にサンフレッチェ広島のプレスの基準をズラし続けた、迷いを生じさせ続けたのがセントラルハーフ(以下CH)に入るグスタフソンです。

アビスパ福岡からすると、ここをどのように隠していくのか、もしくは完全に消していくのかは勝敗を決める分水嶺となるでしょう。

動かしていきたいCH

浦和レッズを閉じ込めて「迎撃」を作り続ければ、自ずと「蹴らせて回収」の回数が多くなると思います。そうなってくると、やはりボールを持つ時間というのは長くなります。

しかし浦和レッズは「ボールを捨てても守備から試合を進める」というプランを持ち合わせているのは事実で、現にそこからのカウンターのルートは明確になっている印象を受けます。だからアビスパ福岡からするとボールを持つ時の振る舞いは気をつけていきたいところです。

そこでこのカウンターを封じていくために、ゴールに迫っていく確率を高めていくために動かしていきたい場所があります。それがCHです。ではなぜここを動かしていきたいのでしょうか?

レッズは2トップをサイドに動かしながら守備を行うことが多いです。特に3バックのチームに対してはこの方法を使うことが多いです。

だからなるべくウイングバック(以下WB)でサイドバック(以下SB)を引っ張り出しつつ、レッズCHにチャンネルカバーを強制させていきたいところです。

これを行っていくと、レッズ2トップがCHがカバーによって開けたスペースを埋めに下りることが多くなります。これでアビスパは被カウンターの威力を弱め、そのルートをあやふやにしていくことは必要になってくるでしょう。

またレッズCHのチャンネルカバーと2トップの縦スライドを強制させ続けることができれば、必ずカバーとスライドの遅れが生じます。この瞬間にバイタルエリアへの侵入と、コンビネーションでの崩しは可能になってくると予想します。

そしてバイタルエリアのコンビネーションを使っての崩しは今季確実に積み上げてきているものです。この方法でゴールを奪うことも長谷部茂利監督への恩返しとなるのではないでしょうか?

紺野和也の外流れとチャンネルラン

これも上記のものと似ている文脈ですが、アビスパ福岡の大きな武器として紺野和也の存在があります。彼が外に流れてボールを持てば、レッズSBを引っ張り出すことは容易でしょう。

ここでチャンネルランを敢行するのがCHです。シーズンが進むにつれて、CHがチャンネル(SBとCBの間)を取りにいく回数は増えましたし、重見柾斗がCHで起用される回数が増えたのは納得です。なぜなら、彼は前に出ていくタイミングが上手で、さらにそこからのプレーも得意としているからです。

この形もしっかりと作っていきたいのがアビスパ福岡だと思いますし、チャンスの回数を増やし続け、レッズのゴールをこじ開けたいところです。

気をつけたいのはトランジションとカウンター

そしてアビスパが気をつけたいのはトランジション発生によるカウンターです。

アビスパはウェリントンに長いパス、上のパスを送り込むことで前進していくことが多いです。しかし、レッズもここには必ずセンターバック(以下CB)をぶつけてくる事は間違いありません。特にマリウス・ホイブラーテンは屈強なので、簡単にボールを収める事はできないでしょう。

そこで多く発生するだあろう2ndボールの拾い合いは勝負の行方を左右する重要な局面となるでしょう。

能動的にトランジションを作り出すとは言え、全部が全部2ndボールを回収できるわけではありません。だからなるべく拾われたとしても前方へのプレー選択を防いでいきたいところです。

最もピンチになりそうなのは3CB脇のスペースへボールを送り込まれて速攻を仕掛けられる攻撃です。そして浦和レッズには単独でゴールを奪ってくる選手たちがいます。

トランジションの局面は細心の注意を払ってプレーを進めていきたいところです。


まとめ

文字通りシーズン終了と共に長谷部茂利監督が勇退となる今季。ホーム最終戦で勝利を収め、多くのサポーターと共に喜びを分かち合いたいところです。

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