サッカーの歴史の中では数々の誤審や疑惑の判定が物議を醸してきた。

ビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)やゴールラインテクノロジー(GLT)といった技術の導入で、正しい判定が行われるようになってきているが、試合の流れの中で主審のジャッジには疑問を抱く試合もまだまだ多い。

日本代表も過去には数々に疑惑の判定に直面してきた。9月から始まるワールドカップの最終予選を前に、過去の困難を振り返る。

明らかにゴールラインを超えていた浅野のシュート

日本代表が不利となった明らかな誤審は、2016年9月に行われたロシアW杯のアジア最終予選、UAE戦が記憶に新しい。

最終予選の初戦、日本は前半11分にFKから清武弘嗣のクロスを本田圭佑が頭で合わせて先取点を奪った。しかし、20分に直接FKを決められ同点とされると、後半9分には微妙な判定からPKを取られ逆転を許してしまう。

問題となったのは32分、酒井宏樹の右クロスを本田が頭で落とし、浅野拓磨が左足でボレーシュート。GKが左手で弾いた。スローVTRで見ると、完全にゴールラインを割っていて得点が認められるべき場面だったが、副審が見逃した。当時はVARの導入前だった。

これには解説の松木安太郎さんも「いやー、なーになになに、なにっ」と驚いた様子。スローを見ると「入ってないか、おい」と怒りをにじませた。

この試合、日本代表は1-2で敗れ、その後ロシアW杯ではベスト16入りを果たしたが、苦しい最終予選のスタートとなった。

シリア戦で副審の判定を主審が覆す

日本代表が体験した誤審の中でも最も有名とも言えるのが2011年のアジアカップカタール大会グループリーグのシリア戦。

日本は前半35分に香川真司のシュートのこぼれ球を松井大輔がつなぎ、長谷部誠がゴール右へ流し込んで先制した。

しかし後半25分、GK川島永嗣がペナルティーエリアで相手を倒してしまい、その後にレッドカードが提示された。バックパスを川島がクリア気味に蹴り、そのボールを相手か味方が触ってオフサイドポジションにいたシリアの選手へ。そこへセーブにいった川島が相手を倒したが、副審はオフサイドの旗を上げていた。だが、主審はその判断を受け入れず、日本の選手が触ったボールがシリアに渡ったとしてオフサイドをとらなかった。

PKで一時同点とされたが、日本は10人になりながらも岡崎慎司がPKを獲得。後半37分に本田がPKを決めて勝ち越した。

日本は疑惑の判定をはねのけて決勝まで進み、李忠成のボレーシュートでオーストラリアに競り勝って優勝した。

VAR介入で田中碧が謎の退場

VARが導入されても疑惑の判定はなくならない。

2020年1月のU23アジア選手権。グループリーグで日本はカタールと対戦した。誤審とも言えるのは、前半アディショナルタイム48分の田中碧へのレッドカードの判定だ。

相手との競り合いで田中が右足を伸ばして交錯した。先にボールに触れたのは田中だった。しかし、VARの介入で主審がオンフィールドレビューをした結果、退場という判定に。なぜレッドカード相当なのかわからない判定だった。

試合は後半28分に小川航基のゴールで先制したが、PKで追いつかれて1-1に終わった。

この試合からVARが入っても不可解な判定はなくならないという教訓は得られた。日本代表には9月からのW杯最終予選では、判定に左右されない強さで出場権をつかんでほしい。

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