初戦で世界王者スペインに逆転負けを喫したものの、ブラジルとナイジェリアに連勝しグループ2位で準々決勝進出を決めたパリ五輪のなでしこジャパン。

次なる相手は、女子サッカー大国アメリカ。ロンドン五輪以来となるベスト4を入りをかけた一戦を前に、今大会ここまでで活躍が光る5名の選手を紹介する。

田中美南

グループステージでは全3試合に先発。現在のなでしこジャパンにおいて、FWの核と言えるのが田中美南だ。

今のなでしこは、とくに縦へつけるボールに関して人依存になりがち。そうした中で、プレーに改善の余地はあるものの、味方の立ち位置を見ながらボールを引き取り次の局面へと進めることのできる田中は貴重な存在と言える。

ブラジル戦では前半にPKを失敗。チームは終盤の連続弾で劇的な逆転勝利を手にしたが、田中は試合後に涙を見せていたという。それだけに、ナイジェリア戦での今大会初ゴールは大きかったはず。

コンディションも徐々に上がっていることがうかがえ、五輪後にNWSLのユタ・ロイヤルズへ加入することを考えても、準々決勝のアメリカ戦ではハイパフォーマンスを期待したい。

長谷川唯

なでしこジャパンの大黒柱というほかない。それだけ長谷川唯は一つ一つのプレーのクオリティが際立っている。

スペイン戦は、マンチェスター・シティの同僚ライア・アレシャンドリが相手にいたこともあってか長谷川への警戒度が高く、ボールを持っても素早いプレッシャーをかけられてなかなか持ち味を発揮することができなかった。

しかし2戦目、ブラジルを相手に個の力を発揮。試合終盤には選手交代でポジションを一列前へ移すと、決勝点の場面では猛烈なプレッシングで勝利を手繰り寄せた。

そしてナイジェリア戦は長谷川の独壇場。植木理子への絶妙なスルーパスで先制点を導き出すなど、全体的にルーズだった相手に対して格の違いを見せつけている。