かつて静岡、埼玉と並んで「サッカー御三家」と称された広島。
県内の高校サッカーはかつてほどの勢いはないものの、地元の雄であるサンフレッチェ広島のユース部門は日本有数の育成で知られ、今年4月に発表された「ホームグロウン制度」の登録人数は全60クラブ中1位に輝いた。
ここではそんな広島ユース出身のプロ選手の中から、「地元・広島に生まれたユース最高傑作」の選手たちを取り上げてみよう。
槙野智章
【プロ入りまでのキャリア】
井口明神FC
サンフレッチェ広島ジュニアユース
サンフレッチェ広島ユース
サンフレッチェ広島
今やタレントとしても大活躍の槙野智章は、広島ユースの出世頭だろうか。
生まれ育った広島市西区は先日タイへ移籍した野津田岳人、陸上選手の山縣亮太さんの地元であり、デーモン閣下が小学生時代を過ごした地域でもある。
広島のジュニアユース同期には森重真人(FC東京)がいるが森重はユースに昇格できず皆実高校へ。槙野はユースでも天性と明るさとリーダーシップを発揮し、各大会で大きな成功を収めた。
2006年にトップ昇格を果たし、ペトロヴィッチ時代を象徴する攻撃的なDFとしてリーグ屈指の存在に。言動やパフォーマンスは目立つがプレー面ではファールやイエローカードをもらわないフェアな守備が高く評価されていた。
その後移籍したドイツのケルンでは、ルーカス・ポドルスキらと親交を深めたものの成功することはできず。短期間で日本に戻るが復帰先が浦和レッズだったため広島サポーターの反感を買った。しかしそこで数々のタイトルを獲得して日本代表にも定着し、2018年にはロシアワールドカップに出場している。
川辺駿(スタンダール)
【プロ入りまでのキャリア】
広島高陽フットボールクラブ
サンフレッチェ広島ジュニアユース
サンフレッチェ広島ユース
サンフレッチェ広島
昨夏からはベルギーの強豪スタンダールでプレーする川辺駿は、元日本代表の田坂和昭、パヒュームの西脇綾香さんらも生まれ育った広島市安佐北区の出身だ。
広島ユースでは高1の頃からレギュラーに抜擢され、高円宮杯U-18チャンピオンシップの2連覇に貢献。高3になる直前の2013年3月に宮原和也(現東京V)と共にプロ契約を結び、森保一監督が指揮官を務めたトップチームでデビューを果たした。
その後、出番を求めて期限付き移籍したジュビロ磐田で名波浩監督(現日本代表コーチ)のもと躍動。広島復帰後は再び控えに甘んじたが2019シーズンからポジションを掴み、かつての恩師・森保監督の日本代表にも初選出された。
足元の技術やセンスは群を抜く一方、やや器用貧乏な面もあった。しかしスイスのグラスホッパーに移籍して以降は攻撃的MFとして得点力に磨きをかけ、怖さをみにつけている。