Jリーグ開幕2年目に参入して以来、その歴史を彩ってきたジュビロ磐田。
1990年代の後半から21世紀の初頭にかけて黄金時代を築き、名波浩、高原直泰、中山雅史、藤田俊哉ら静岡に生まれたあまたのスター選手を輩出してきた。
一方で下部組織に目を向けると、ユース出身者の活躍はライバルの清水エスパルスに比べると地味な印象を拭えなかった。
ただ近年になってそれが大きく変化しつつある。ここでは、ジュビロ磐田のユース(U-18)出身で世界と戦える強烈な個性を持った選手たちを紹介しよう。
伊藤洋輝(バイエルン)
【プロ入りまでのキャリア】
ジュビロ磐田U-15
ジュビロ磐田U-18
ジュビロ磐田
今一番ホットな日本人は、磐田のユースから2017年にトップ昇格している。当時はボランチで、同じ時期に磐田でプレーしていた中村俊輔が「(元イタリア代表)チアゴ・モッタのよう」と絶賛する逸材だった。
磐田では、ストッパーや左ウィングバックなどで活躍。2021年にドイツのシュトゥットガルトへ移籍するが、当時はさほど話題にならないほど実績のない状態だった。
ただそこからのサクセスストーリーはお見事だろう。ドイツでの活躍で日本代表入りし、ワールドカップに出場。昨季ブンデスリーガ2位の好成績に貢献すると、今夏2350万ユーロ(およそ40億円)でバイエルン・ミュンヘンへと移籍した。
報道では年俸10億円とも伝えられる。彼が磐田ユースが輩出した最高傑作であることに疑いの余地はないはずだ。
山下諒也(ガンバ大阪)
【プロ入りまでのキャリア】
ジュビロサッカースクール
ジュビロSS磐田
ジュビロ磐田ユース
日本体育大学
東京ヴェルディ
静岡県・磐田市に生まれ、小学生の頃からジュビロ磐田の下部組織に在籍したという生粋の磐田っ子。
桐光学園から小川航基が磐田入りしたあおりを受けトップ昇格できなかったが、その後日本体育大を経由してプロ入りを掴み、東京ヴェルディ、横浜FCを経て今季からガンバ大阪でプレーする。
武器は何といってもスピードを生かしたドリブル突破。父親と母親はともにバレーボールの国体選手というスポーツ一家の血筋を受け継いでおり、今季のJ1では全体で6番目に速い35.1km/hを計測している。
ちなみに小学生の頃に行ったブラジル遠征でネイマールに、中学生の頃に行った静岡県選抜のフランス遠征でエムバペに衝撃を受け、それが彼の世界基準のプレーへと繋がっていると言えるだろう。