「突然ではなかった別れ」と「遅すぎた続投要請」

――2年間ウズベキスタンで仕事をして戻ってこられました。その間になでしこリーグの選手や試合に変化はありましたか?

突出した選手が上(海外やWEリーグ)に行ったということもあるかもしれないんですけど、なんとなくみんなが『同じようなタイプ』のように思えるところはありますね。

――ウズベキスタンの話をされていた記事も拝見しました。あちらは逆に未開発なぶん個性的というか…監督というよりジェネラルマネージャーのような仕事をされていたみたいですね。練習環境もままならず、選手の意識もかなり低いところからスタートしたとか。

ウズベキスタン代表で指揮を執っていた本田美登里監督

ジェネラルではないですけど(笑)。マネージャーですよね、チームをコントロールするということなので。『ここまでか…』というのはありましたけど、やれないことではありませんでした。

ウズベキスタンはとても我が強い選手が多かったですね。自分を表に出していくところが強い。なでしこリーグをこの1ヶ月見ていた中で、突出した選手が出てこないという点で言えば、それは取り入れてもいいところです。

ただ逆に言えば、日本人の持っている協調性、人のために頑張るということはウズベキスタンの選手にはできないことなんです。その意味では、サッカーという競技は日本人に向いていると思います。

しかし、それが多くの選手が平均的になっているということにも繋がっているので、そこに特別な何かを持たせられるようなものを作りたいですね。

「我の強さ」と「ポジティブさ」に長けたウズベキスタン女子代表

――その協調性のなさが、五輪予選のオーストラリア戦での二試合合計0-13という結果に繋がったというところも?

あれは完全に力の差です(笑)。ただウズベキスタンの人々は非常にポジティブな発想をするので、このセカンドレグの話はしなかったですね。1試合目の77分までは0失点だったよね!と。

『もうちょっと学習能力を見せたほうが良いんじゃない?』と日本人としては思ってしまいますけど(笑)、ただそれも含めて異国の文化は違うんだなと感じましたね。

――ウズベキスタンの女子サッカーをかなり発展させることができたと思いますが、2月に退任されるときには現地でどんな反応がありましたか?続投の話は出なかったのでしょうか。

本来であれば、昨年の12月31日をもって契約は終了することになっていたんです。一度契約が満了になって、そこからの更新…となるはずだったんですけど、結局それがウヤムヤになっていました。そしてあのオーストラリアとの二試合目が終わってから「ぜひ残ってほしい」と言われました。

日本人は先のことまで考えているものなので、「契約のオファーがなかったので、もう次のところで仕事をする準備をしているんです」と返答したら、「えっ?残ってほしいんだけど…」と。こちらとしては「それならもっと早く言ってほしい」と思いますが、それもウズベキスタンの文化なんですよね。