5月20日から21日にかけて行われた天皇杯の一回戦。日本の各地でカテゴリを超えた激しい戦いが繰り広げられた。
その中でも最も注目を集めた試合の一つが、滋賀県代表のレイラック滋賀FCと静岡県代表のアスルクラロ沼津の対戦だ。
レイラック滋賀FCは現在JFLで2位につけている好調のチームで、J3を戦っているアスルクラロ沼津とのある意味「試される」試合でもあった。
また、この試合が行われたのは滋賀国体に合わせて建設された「平和堂HATOスタジアム」。アメフトはすでに行われたものの、サッカーの試合としてはこれがこけら落とし。歴史上初めての開催である。
キックオフ直後は地元で戦うレイラック滋賀FCがチャンスを連続して作る展開だったが、徐々にアスルクラロ沼津がJリーグクラブの力を見せて押し返し、ボールを保持する流れを作っていく。
しかしながらゴールが生まれることはなく、前半は0-0のまま終了してハーフタイムに突入。
そして後半には試合が動きを見せる。58分に先制したのはアスルクラロ沼津だった。一度ビッグチャンスを逃したものの、その直後の隙を狙ってクロスからブラウンノア賢信がヘディング。これが決まってリードを奪う。
だが75分に地元レイラック滋賀FCが起死回生の同点ゴール。カウンターから川森有真が飛び出してクロスを送ると、5バックの左に途中投入された俣野亜以己がヘディング。試合を振り出しに戻してみせた。
そして試合が決まったのは、延長終了間際のアディショナルタイム。松本翔のロングパスから川森有真が飛び出し、左サイドからクロス。それを中に飛び込んだ平尾壮が合わせてゴール。
レイラック滋賀FCが劇的な決勝点を奪い、いわゆる「ジャイアントキリング」を成し遂げることに成功。平和堂HATOスタジアムに集まったサポーターも、そのドラマのような結末に喜びを爆発させていた。
一方のアスルクラロ沼津は直近の公式戦3試合全て終了間際に失点し、3連続で勝点を落としている。