サッカーという競技はもちろんスポーツに分類されるが、ピッチ上で体と体が激しくぶつかり合うことからしばしば「格闘技」にも例えられる。
日本サッカー協会の技術委員長として日本代表を支える反町康治氏もそうした考えを持つ一人のようだ。
反町氏は16日、JFAの公式サイトで連載しているコラム「サッカーを語ろう」を更新。このなかで「今回のカタール大会ではサッカーがあらためて格闘技であることを認識させられた」と述べ、昨年のワールドカップで優勝したアルゼンチン代表を以下のように形容した。
反町康治(日本サッカー協会技術委員長)
「アルゼンチンとフランスが激突した決勝にしても、次の試合がないからイエローカードを1枚もらうのは当たり前という感じで、壮絶なコンタクトプレーの連続だった。
(中略)我々の常識では、例えば守備なら、しっかりラインをそろえて個々の選手もしっかりポジションを取って、コンパクトな陣形を保ってディフェンスに行こうとなるのだが、アルゼンチンの場合はシステムでさえ、「この選手は、どこがノーマルポジションなんだ?」とメモを取ろうとしてもよく分からないのである。
守備をさぼっているわけではない。逆だ。「ポジションを取ってからプレスに行く」というような生半可な態度ではなく、「ボールは即、狩りに行く」という詰め方。奇麗事では終わらない覚悟を全員が持っていた。」
アルゼンチン代表を「明らかに我々とは思想が異なる」と評し、定石通りではない戦いに困惑すると同時にその強い覚悟を持った姿勢に大きな感銘を受けたようだ。
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さらに反町氏は、アルゼンチン以外にもクロアチア代表ブロゾビッチ、モロッコ代表アムラバトの名前を挙げ、「ある種の荒々しさ、激しさを備えた選手が脚光を浴びる時代になったのかもしれない。プレーメーカータイプでも、ボール狩りに参加できないようであれば、チームの一員になれない時代が」と語り、日本代表の育成について見直す必要性についても言及していた。
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