今回行われたFIFAワールドカップ・カタール2022のラウンド16で敗退してしまったスペイン代表。

それを率いたルイス・エンリケ監督が戦術的なベースとしていたのはバルセロナのパスサッカーであったが、結局勝利できたのはコスタリカ戦のみで、重要なときにゴールを奪えなかった。

【動画】7ゴールを決めて大爆発したコスタリカ戦。ただ結局勝利したのはこの試合のみ

逆に日本やモロッコなどカウンター系のサッカーが印象を残したこともあり、「ポゼッションサッカーは時代遅れなのでは?」という論調も。

ただ、『Mundo Deportivo』のインタビューに応えたバルセロナのジョルディ・クライフ氏は、その論調に対して以下のように話していた。

ジョルディ・クライフ

「サッカーは変化してきた。そして、それはワールドカップによるものではなく、全体的なトレンドである。

10年前には中盤でのバトルで勝った側が試合にも勝った。いつもそう言われていた。

今日、それはとても重要なものではなくなってきた。しばしば言われることであるが、エリア内での戦い、守備での強さ、攻撃の効率性。

サッカーは高速化している。それはフィジカル的なことを意味するのではないが、スピードは速くなっている。

ファーストタッチも横や斜めや後ろではなく、前に持っていく。それがトレンドである。サッカーでは長い間見られてきた傾向であり、実際に起こっているものでもある。

特に英国やドイツのチームと戦うときに気付かされる。切り替えの局面やボールを奪った時、そして前に進むときにね。

それは変化だ。これまで培ってきたDNAで戦えなくなったというわけではないよ。グアルディオラはイングランドで素晴らしい例を見せている。速いプレーが求められるサッカーの中で、哲学とDNAを発揮している。

ではスペイン代表やバルセロナが時代遅れであるか?それは違う。

切り替えを得意とするライバルと戦わなければならない時、ボールを失うたびに苦しい局面に直面する。それは間違いないが、サッカーの根源的なことだ。

15年前のバルセロナの中盤を分析すると、3トップを生かすために必要なことが違っていた。ボールを保持してライン間でボールを渡す。適切なタイミングでね。

最終ラインも失点しないことを優先事項とせず、ボールを引き出して中盤に渡し、ミッドフィルダーがアタッカーと同じ仕事ができるようにすることだった。

今日のニーズは変化している。中盤はいつも前線と最終ラインにあるものに依存している。センターバックのカバーをしなければならないチームもあれば、ゴール前に入らなければならないチームもある。それはすべて戦術によって異なる。

攻撃も守備も現在とは違うため、10年前と比較するのは不公平だ。中盤に3枚を並べることが時代遅れだと単純に言うよりは複雑なものだが、もし3人の偉大な選手がいればそのようにはならないのだ」

【Qolyインタビュー】パリ五輪出場の東京ヴェルディMF山田楓喜、トッテナムのクルゼフスキを「自分の究極系」と語るワケ

大谷翔平より稼ぐ5人のサッカー選手