今季を支えたキーマンたち
新指揮官のもと、スタイルの転換期を迎えた今季のFC東京。ここでは、新たな戦術を支えた選手たちを紹介していきたい。
まずは、ビルドアップの起点として重要な役割を果たした森重真人と木本恭生だ。再び主将の重責を担った森重は、かねてより定評のある足元の技術を発揮しつつ、守備の要としてDFラインを統率。指揮官が求めるCB像を体現した。36歳となる来シーズンも引き続きスタイルの中心人物となりそうだ。
その森重とコンビを組んだ木本は、加入1年目から不動の地位を築いた。名古屋グランパスより迎え入れた背番号30の魅力は、正確なパスと鋭いフィード。ゆったりとしたビルドアップから一気のロングフィードで敵陣のスペースを突く形は効果的だった。
攻撃参加も売りで、古巣対決となった第33節・名古屋戦では、後方からペナルティエリア付近へ侵入し、見事なミドルシュートを沈めている。
最終ラインからのビルドアップを重視する“アルベル流”を実現するには、配球のセンスに優れたセンターバックが不可欠。森重と木本の存在があったからこそ、スタイルを貫くことができたと言っても過言ではないだろう。
中盤では、インサイドハーフで起用された大型ルーキーの松木玖生が早くも主軸へと成長した。青森山田高時代から”超高校級“として注目を集めてきた松木は、川崎フロンターレとの開幕戦でスタメン起用され、早速Jリーグデビューを飾る。
その後もフィジカルの強さ、要所で見せる巧みなボールタッチ、ブレないメンタリティーを武器に定位置を確保。最終的にリーグ戦31試合に出場し、フィールドプレーヤーではチーム3番目の出場時間を記録した。
すでに風格すら漂わせる19歳の超逸材が、カタールW杯直後の日本代表に選出されても驚きはない。日本サッカー界のこれからを背負うレフティは、今後も様々な話題を振りまいてくれるはずだ。
若武者の躍動に関連すると、左サイドバックのバングーナガンデ佳史扶がブレイク候補として名をあげた。ストロングポイントは攻撃力で、思い切りのいい攻撃参加と左足から放たれるクロスが光る。特にクロスはスピードのある低弾道や滞空時間が長い浮き球など複数の球種を使い分ける。
長友佑都という最高のお手本から学んで攻守にレベルアップしていければ、年代別代表での活躍はもちろん、ゆくゆくはA代表への招集にも期待がかかる。来季は開幕からポジションをつかみ、シーズンを通した活躍を披露したいところだ。