今夏のマーケットでレンヌからレアル・マドリーへと加入したフランス代表MFエドゥアルド・カマヴィンガ。

デビューとなった先週末の試合では途中出場からいきなりゴールを決める活躍を見せ、「持っている」雰囲気を感じさせている。

生い立ち

エドゥアルド・カマヴィンガはフランス代表選手であるが非常に複雑な生い立ちを持っている。

両親のセレスティーノとソフィアはコンゴ共和国の出身であるが、戦乱を逃れてアンゴラの飛び地領土であるカビンダ地区へと脱出。ミコンジェの難民キャンプでエドゥアルドを授かった。

エドゥアルドが1歳のときに家族はフランスへと移住し、いくつかの場所を転々としたあとフジェールというブルターニュ地方の街で生活することになった。

少年時代には兄が学んでいた柔道を母に勧められていたとのことだが、あまりにもやんちゃすぎて家のものを破壊してしまうため、外で遊ばせようとサッカーに転向させたとか。

全く何も知らないままにサッカーを始めたというエドゥアルドだが、それからすぐにボールを扱う才能を開花させたという。

近郊の町にある名門レンヌに目をつけられ、加入の準備を進めていたエドゥアルド。そんな彼に悲劇が訪れたのは2013年だった。

彼が学校に行っている間、家族が新たに建設したマイホームで火災が発生し、全ての家財道具を失った。

しかも移民に関わる書類や身分証明書も焼けてしまったため、当時フランス国籍を所有していなかったエドゥアルドにとっては大きな問題だったようだ。

当時のコーチであったニコラ・マルティナイス氏は『Afriquesports』で当時のことをこう振り返ったそうだ。

ニコラ・マルティナイス

「彼らはすべてを失った。家族は涙の海で溺れていたよ。しかし、父のセレスティーノはエドゥアルドに言ったんだ。

『心配しないでくれ。君は素晴らしいサッカー選手になって、また家を建てられるはずだからな』と」

カマヴィンガ自身もそのエピソードを認めているが、10歳だったこともあってそれほど真剣に受け取っていなかったとも。ただこの言葉を母親が何度も繰り返していたため、徐々に両親の本気度を感じることになったとか。