1982年にチェルシーでデビューし同クラブ初の黒人選手となったFWポール・カノヴィル氏が、現在病院で危険な状態となっているそうだ。
カノヴィル氏は先日体調を崩して緊急手術を受けたものの、それによる合併症が発生したことで危険な状態に陥っているとのこと。
A message on behalf of our Trustees and @Kingcanners family. We know @ChelseaFC the Football World at large and all those in the charity sector where he works so hard will join us in sending prayers and positive thoughts 💙 #Canners pic.twitter.com/dStOISrl8x
— Paul Canoville Foundation (@_PCFoundation) February 3, 2021
ポール・カノヴィル氏は1962年生まれの58歳。ドミニカ出身の父、アンギラ出身の母の下でイギリスに生まれたという出自を持つ。
父親が育児を放棄したことから母親1人に育てられ、少年時代は貧困の中で犯罪行為を繰り返す荒れた生活を送っていたという。
セミプロとしてヒリンドン・ボローというクラブでサッカーをプレーし始めたときには車で寝泊まりしていたとのことだが、選手として評価を高めて1981年にチェルシーのトライアルで合格を勝ち取り、クラブ初の黒人選手となった。
当時のサッカー界には人種差別が蔓延しており、彼は味方のファンからも誹謗中傷を受ける状況にあったというが、5年間で79試合に出場し11ゴールを決めている。
しかし度重なる怪我に苦しんだこともあって1987年に24歳という若さでプロサッカー選手を引退し、ミュージシャンに転身。アマチュアでプレーしながらDJとして音楽活動を行っていた。
そこでは成功を収めたものの薬物中毒に陥ったことから経済的には苦しみ、さらに1996年には癌の一種である非ホジキンリンパ腫を患っていることが発覚。それからは数年ごとに寛解と再発を繰り返している。
2008年にはその人生を振り返る回想録を出版して話題になり、自身の財団を通して社会的な活動を積極的に行っていた。