2019年1月21日、サッカー界を震撼させるような事故が発生した。
フランス・リーグアンのナントからイングランド・プレミアリーグのカーディフ・シティへと移籍することが決まった28歳のアルゼンチン人FWエミリアーノ・サラ。
パイロットのデイヴィッド・アイボットソンが操縦する小型飛行機パイパーマリブでナントを飛び立ったあと、ガーンジー島付近の海域で消息を絶った。
数日間の捜索の末に海底で墜落した飛行機が発見され、その中からはエミリアーノ・サラの遺体が発見された。
この事故については今も多くの捜査と裁判が進められている。
まずは事故に関する調査。この飛行機を操縦していたデイヴィッド・アイボットソン氏は、実は顧客を乗せて商業飛行をするライセンスを所有しておらず、いわゆる「白タク」であった。
この法的にグレーな航空タクシーはかなり一般的に使用されており、有名人がプライバシーを守りながら移動するために選択されている。
また、エミリアーノ・サラの血液を調査した結果「墜落時にはすでに一酸化炭素中毒で意識を失っていた」ことが判明。おそらく排気ガスが暖房システムを通ってキャビンに入り込んでいたと考えられている。
それらの事件を受けて、フライトを手配したイースト・ランディングという会社のデイヴィッド・ヘンダーソン氏が起訴されており、2021年10月18日に裁判が行われる予定だ。
一方、ナントとカーディフ・シティの間では移籍に関する裁判も行われている。
エミリアーノ・サラの取引には1700万ユーロの移籍金が動いていたが、カーディフ・シティ側は「正式に自分たちの選手ではなかった上、ナント側は安全な移動法を選択しなかった」として支払いを拒否。
一方ナントはすでに取引は行われていたとして全額を求めたが、FIFAは「カーディフ・シティがナントに最初の分割払い分である600万ユーロを支払う」という判決を下した。
しかし、その判定に対してカーディフ・シティ側がスポーツ仲裁裁判所に控訴を行っているため、これについてもまだ結論が出ていない。
裁判の公聴会については2021年の春に行われる予定だとされており、こちらもまだ係争中となっている。
【生前を振り返る】28歳で事故死…エミリアーノ・サラはどんな選手だったのか
未だにパイロットのデイヴィッド・アイボットソンの遺体は発見されておらず、複数の裁判が行われているエミリアーノ・サラの事故。長く待たされている家族は苦しい時間を過ごしているという。