関東1部リーグの東京ユナイテッドFCは15日、横河武蔵野スポーツクラブとの提携を発表した。

コロナ禍での影響が続くなか、クラブの安定運営と持続的発展のため、さらなる運営基盤の強化と運営リソースの効率化を図るとともに、新たな経営戦略が必要と判断して実現したという今回の提携。一番大きな点は、両クラブが運営するそれぞれのトップチームの共同運営を行うことになったことだ。

発表によれば、2021シーズンもJFLに参戦する「東京武蔵野シティフットボールクラブ」は、JFLの承認のもとで名称を「東京武蔵野ユナイテッドフットボールクラブ(東京武蔵野ユナイテッドFC)」へ変更。両クラブのトップチームという位置づけになることにより、東京ユナイテッドのトップチームが事実上JFLへ“飛び級”する。

東京ユナイテッドは、慶應義塾体育会ソッカー部と東京大学運動会ア式蹴球部の各OBを中心として2015年に創設。一方、東京武蔵野シティFCは前身の横河電機サッカー部からアマチュア最高の舞台JFLに参戦してきた。

2016年にはJリーグの百年構想クラブに認定されたが、ホームタウンの武蔵野市ではJリーグのクラブライセンス取得に必要なスタジアムの施設基準などを満たすことが難しく、2020年にJリーグ参入を断念。百年構想クラブから脱退していた。

そんな両者が、クラブとそこに関わる人々の未来のみならず、日本のサッカー界の未来について様々な議論を重ね実現したのが今回の提携。

活動地域も横河武蔵野のホームタウン武蔵野市以東、東京ユナイテッドが拠点を置く文京区を包含するエリア、すなわち「東京のど真ん中(the Heart of Tokyo)」となり、都民の暮らし、そしてココロを豊かにし、多種多様な社会課題を解決する、新しい都市型スポーツコミュニティの創造を目指すという。

こちらが新チームのエンブレム。偶然にも「シティ」から「ユナイテッド」への名称変更となった。

なお、関東1部の東京ユナイテッドFCは今後、新たな運営体制のもと、地域に根差した完全なるアマチュア社会人チームとして生まれ変わり活動するとのことだ。

新興クラブがJリーグへ参入する際、最難関となっているのが地域リーグからJFLへの昇格である。特に、強豪ひしめく現在の関東1部リーグはJFL昇格をかけた地域チャンピオンズリーグに出場することすら簡単ではなく、仮に出場しても短期決戦で少しでも躓けば昇格はかなわない。実際に昨年、リーグ1位の栃木シティFCと同2位のブリオベッカ浦安はともに地域CL敗退の憂き目に遭っている。

そうしたなか、東京ユナイテッドはJFLクラブとの提携という“ウルトラC”でこの関門を突破した。今後課題となるのはスタジアムだが、クラブ創設時から「2020年のJリーグ参入」を目標としていた彼らだけに何らかのアイデアを持っていることが予想される。

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