レネ・イギータ(コロンビア)
バルデラマ、リンコン、アスプリージャらを擁し、1990年代に南米を席捲したコロンビア代表。そのチームで守護神を務めたのがこのレネ・イギータである。
もじゃもじゃ頭に髭面と、見るからに只者ではない雰囲気を醸し出していたこの男は、その見た目通り、サッカー史上に残る破天荒な選手であった。
今でこそGKに攻撃が求められるのは当たり前となっているが、30年ほど前までGKはゴール前で守りさえすればいいというのが常識的だった。
というのも当時はGKに対してのバックパスが認められた時代(1992年に改正)であり、GKは味方のパスを手で取ることができたのである。
しかし、破天荒を具現化したようなイギータはそんな常識に抗った。味方がセットプレーを獲得すればFKとPKを蹴り、エリア外へと飛び出せばドリブルを敢行した。
その結果、1990年ワールドカップのカメルーン戦ではボールを奪われ失点する大失態も犯したが、彼の姿勢は後のチラベルト、セニ、カンポスらに大きな影響を及ぼすことになった。
さらに、彼は伝説を残した。
今から20年前の1995年9月6日、ウェンブリー・スタジアムで起きたこのプレーである。
GKを務めたイギータは、相手のクロスを俗にいうスコーピオンキックで弾き出したのである。
FKやPK、ドリブルはGKに求められてはいなかったものの、それでもサッカーの一部ではあった。…がこればっかりは意味不明であった。
しかしこの伝説的なプレーは、彼の破天荒さと異次元さを示す象徴的なプレーとして今なお語り草となっている。
ちなみに今年は世界中で新型コロナウイルスが大流行し、コロンビアでも自宅待機が発令された。
すると、イギータのSNSに「外に出るな」という文字が入った画像が大量に送り付けられた。これはもちろんジョークであったが、彼が現在どのように認識されているかを示す微笑ましいエピソードであろう。
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なお、その際にイギータはこのように反応している。「健康が第一さ。自宅で済むのならとどまってくれ」と。
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