「4人目のオーバーエイジ」として

プロである以上、常にサッカー中心で行動すべきだし、そのためにピッチ外での時間の使い方も頭を使って考えるべきだと俺は思う。

例えば、今回の合宿で「午前休み、午後練習」の日があったけど、午前中をどうやって過ごすかはそれぞれの選手の判断に委ねられている。

俺は去年、(長友)佑都君から「1部練で終わるなんて、俺の人生ではもうないよ」と言われて衝撃を受けた。佑都君は「俊さん(中村俊輔)に教わった」と言ってたけど、たとえ全体練習がなくてもジムで体を動かすことの大切さに気づかされた。だから今回もスタッフに確認して、午前中にジムへ行った。

もちろん、体を休ませることも大事だけど、「試合に向けた準備として何がベストなのか」を状況に応じて判断するべきだと思う。

それぞれの選手が何を考え、どう過ごしたのか。休みと言われてるから、何も考えずに部屋で過ごした人もいたかもしれない。いろいろな選択肢の中から考えた上で選んだならいいけど、そうじゃないなら、もっと意識できることがあると思う。

自分のプレーに関して言うと、もっと周りに安心感を与えられるような存在にならないといけないなと感じましたね。後半途中からトップ下に入って、そんなことを意識してました。

それこそ、「4人目のオーバーエイジ」のようなメンタルでどしっと構えようと。「律がいるから何をしても大丈夫」と味方をポジティブな気持ちにさせられる存在になれたら最高やし、そうならないといけない。

直接会って話したり、一緒にプレーしたりする機会が本番直前までほとんどないのがもどかしいけど、それでも、今この瞬間から変われるから。

これだけショッキングな負け方をしたんやから、あとは前を向いて堂々と開き直るしかない。メディアに対して、「ここで負けたからといって金メダルを諦めるつもりはない」と言ったけど、卑屈になったらダサいでしょ。

もうやるしかないから、ほんまに。そういう気持ちは持っていてほしいな、みんなにも。

堂安 律

1998年6月16日生まれ、兵庫県尼崎市出身。ガンバ大阪、フローニンゲンを経て、今夏に強豪PSVアイントホーフェンへ加入した。PSVでは「25」、昨年9月の初招集以来定着している日本代表では「21」を背負う。

※今回紹介したコラム『堂安律の最深部』は、『週刊プレイボーイ』(集英社)で隔週連載中。

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