“不完全プレッシング”はどうする?

ガーナ戦と比較すると、この試合における日本代表は守備についての考えが変わっていた。

というより、ある部分でより明確になっていたことがある。

それは「高い位置からボールを奪う」というケースと「引いてブロックを作る」というケースを使い分けるという考えだ。

実際、グループリーグで対戦するコロンビア、セネガル、ポーランドとの力量を考えた場合、自らボールを保持できる時間は限られる。そのため「いかにしてボールを奪うか」はかなり重要なテーマとなる。

しかし、ガーナ戦の守備はそこが見えなかった。表現を変えるならば、「ボールを奪いにいくエリア決め」が曖昧であったと言えるだろう。

だが、それらはこのスイス戦では少々改善されたように見えた。

その理由は「ボールを奪われた後、ボールホルダーに対して近くのファーストディフェンダーが寄せる」ということと「(チャンスがあれば)連動して高い位置ボールを奪いに行こう」という意識が感じられたからだ。

現に、前半途中から失点するまでのいくつかのシーンでは、この考えが実り、スイスに対してプレッシャーを与えられていた。

ボールを奪ってもゴールに繋げられなかったこと自体は問題だが、一種の「形」が見られたことは事実だ。

しかし、その一方で、多くの時間帯において「プレッシングがハマらない状況」が続き、何度もそこからピンチを迎えていた点は見逃せない。

彼らがプレッシングのように行っていたものの大半は、不完全な“プレッシング”であったためだ。

大迫や本田らがボールホルダーにアタックを敢行しても、そこには連動性や一貫性がなく、単体でのチェイシングに終始。その恩栄を受けたスイスは簡単にボールを運んでいた。

そこから失点には至らなかったものの、スイスよりも個人能力で勝る選手が何人も存在する、コロンビアやセネガル相手に同じようなシチュエーションが起きていれば…と思うと、恐怖しか湧いてこない。

機会があれば、これらの問題については改めて言及したいものだ。