2018年のワールドカップ予選でまさかの敗退となったアメリカ代表。
そんななか、「国内リーグのMLSに昇格・降格制度を導入することで、アメリカサッカーのポテンシャルが解き放たれる可能性がある」と唱える人物がいる。
それは、イタリア人のリッカルド・シルヴァ氏。
彼はNASL(実質的な北米2部リーグ)で優勝したマイアミFCで、パオロ・マルディーニとともに共同オーナーを務める人物だ。そして、巨大スポーツエージェンシーの『MP & Silva』社の共同設立者でもある。
『MP & Silva』社といえば、MLSに昇降格の導入を求める代わりに現在の4倍にもなる超破格の契約料を提示したものの固辞された企業だ。
いわば2部クラブのオーナーでもあるシルヴァ氏がその立場上、昇降格の導入を唱えるのは当然のこと。
では、その理由とはいかなるものなのだろうか。『ESPN』が伝えたインタビューの一部を抜粋してみる。
リッカルド・シルヴァ
「オープンなシステムが(アメリカサッカーの)可能性を解き放ちうると我々は信じている。
最も成功しているサッカーリーグというのは、競争に基づいている。
おそらくそれがUSAサッカーに欠けているものだ。
チームにはクオリティ(のある選手?)に投資しようというモチベーションがない。なぜなら、3部から2部、2部から1部へ上がれないからだ。
クオリティの上昇はボトムアップ(≒底上げ)によって成し遂げられると、我々は信じている。
チームがクオリティに投資することでね。今はそういうことが本当に起きていないと感じている」
「(なぜ契約に昇降格が必要だったのか?)
我々はサッカーの仕組みを分かっているし、よりファンはエキサイトし、クオリティも向上するだろうと信じている。時間とともにね。
USAが世界のトップ5~10に入るべきではないという理由などない。
彼らがコスタリカやホンジュラス相手に苦戦する姿を見るのは残念だ。ドイツやフランス、スペインといった国と競い合うトップレベルになるためのもの全てを持っているのにね」
「(ポテンシャルを開花できていない)理由のひとつが、オープンなシステムが欠けていることだと我々は考えている。
アメリカの3部リーグがドイツやフランス、スペインの3部と、同じように2部も1部もそれらの国々の2部1部と争えるようになって、初めてアメリカサッカーは戦えるようになるだろう。
そして自然の結果として、アメリカ代表もそれらの代表国(フランスら)に匹敵するレベルになるはずだ。
いきなり屋根から家を建てることはできないのだよ。土台から作っていかなければならない。
そして、そのやり方は競争させ昇格もあるかもしれないと下部にいる子達にモチベーションを作り出すことだ。
それは競争だ。もしシステムが非競争的だったなら、質を上げることはできない。
アメリカサッカーは、マーケティング、施設面、そして今やファンの関心という点においても最高レベルにある。
欠けているのは、質だ。
今、アメリカのFIFAランキングは28位だ(10月の発表で27位に浮上)。だが、MLSが始まった1996年には18位だったんだよ!
クローズドなシステムはフットボール(アメフト)、バスケ、野球ではうまく機能すると理解している。だが、これらのスポーツにおいてアメリカは、すでに最高レベルにある。
一方で、サッカーは28位だ。最高レベルにはない」
なお、直近のアメリカ代表23人のうち、16人がMLSでプレーしている。